モンスター796
- 掲載日/2010年10月28日【DUCATI購入ガイド】
Monster 796
いいとこどりで生まれた
ちょうどいい身の丈モンスター
2007年に発表された新世代モンスターは、最小排気量となる696から登場した。その翌年には1100が追加され、今年になって新しい『デスモデュエ』エンジンを搭載したモンスター796が登場した。この空冷Lツインは先にハイパーモタード796に搭載されたエンジンと同じだが、圧縮比などの変更により最高出力、最大トルクともにアップしている。
車名が示すとおりモンスター796は、696と1100の中間を埋めるモンスターであり、696と1100の長所をまんべんなく採り入れた優等生的性格を持っている。簡単にいえば、その長所とは696のコストパフォーマンス性と1100のスタイリングだ。696と1100、いずれにも魅力を感じていてどちらを購入するか迷っているのであれば、796がその解答になってくれるに違いない。ではそのディテールを見ていこう。
696と1100との相違点
モンスター796のスタイリングは1100譲りで、Y字5本スポークを持つホイールと片持ち式スイングアームは1100と同じものが装着されている。ホイールについてはカラーリングが異なるものの、片持ち式スイングアームによってさらに強調されるデザインの秀逸さ(それは走行中にさらに美しく映えるのだ)は、696では感じられない要素のひとつだ。
そして696から譲り受けているのは、優れたコストパフォーマンス性だ。街乗りに必要にして十分な性能に絞り込み、モンスターのパフォーマンスとドゥカティのイズムを気軽に感じられるようデザインされている点だ。
では主要なスペックで比較してみよう。
モンスター796 | モンスター696 | モンスター1100 | |
---|---|---|---|
排気量 | 803cc | 696cc | 1078cc |
ボア×ストローク | 88×66mm | 88×57.2mm | 98×71.5mm |
最高出力 | 87ps/8,250rpm | 81ps/9,000rpm | 95ps/7,500rpm |
クラッチ | 湿式多板(APTC) | 湿式多板(APTC) | 乾式多板 |
オイルクーラー | あり | なし | あり |
前サスペンション | 調整機構なし | 調整機構なし | フルアジャスタブル |
乾燥重量 | 167kg | 161kg | 169kg |
シート高 | 800mm | 770mm | 810mm |
パワー、車重、シート高の数値を見てみると、796が中間的存在であることがよくわかるだろう。APTC製スリッパークラッチを内蔵した湿式クラッチの採用は乗りやすさを、調整機構を省いた前サスの採用は扱いやすさを、それぞれ696からそのまま受け継いでいる。その他にも前ブレーキマスターシリンダーのグレードも696と同じ仕様だし、ギア比は696とまったく同じである。
ちなみにホイールベースは1450mmで、これは3車すべて同じだ。
モンスター796の個性とは
こうして見てくると、モンスター796が先に登場した696と1100の長所をうまく採り入れており、いいとこどりの性格を持っていることがよくわかるだろう。では、実際の乗り味はどうなのかというと、やはりいいとこどりなのだ。ボアは696と同じ88mmだがストロークが延長された空冷Lツインは、696の空冷Lツインが小気味よく回る高回転型なのに対して、796の心臓であるデスモデュエは低~中回転域からより豊かなトルクを発生する。ドゥカティらしい素早い回転上昇も持ち合わせているが、796のエンジンにはまろやかさが加わっている。そこにあるのは“ゆとり”だ。エンジン特性によるところもあるが、ハンドルバーマウントが20mm高くなったことによってライディングポジションに余裕が生まれていることも、796のみが醸し出すゆとりの要因だろう。
それともう一点、796には新しく開発されたシートが装備される。表地がツートーンになり見た目に美しいステッチも特徴だが、座面が水平になったことで落ち着いたライディングをもたらすのである。
カラーバリエーション
モンスター796には標準カラー3種の他に、『ロゴマニア』と呼ばれるカスタムカラーが容易される。往年のドゥカティファンがニヤリとするカラーリングからソリッドなスペシャルカラーまで10種類がある。もちろんロゴマニアは796だけでなく、696や1110でも楽しめる。
標準カラー
ロゴマニア
新車と中古市場
日本での販売は2010年9月より開始された。その直後のため中古車はほぼ皆無であり、796を手に入れるなら新車を選択する他ない。
また、796にはグレードの設定がなく、ABSが標準装備となる。そこでABSを装備する696、1100と比較すると
696+ABS 109万円
796 119万円
1100S 165万円
といった価格帯となる。1100SはABSだけでなく前後サスがオーリンズ製フルアジャスタブルになることをはじめ、モンスター最上級グレードのため価格がグンと上がる。それを考慮してもこうして価格を比較してみると796のコストパフォーマンスの高さがわかるだろう。
※価格情報については、2010年10月現在のものです
価格・スペック
最新の車両情報に関してはメーカー公式サイトをご確認ください。
スペック情報は万全な保証を致しかねます。実際に購入される場合はDUCATI正規ディーラーへお問い合わせください。
- 排気量
- 803cc
- ボア×ストローク
- 88×66mm
- 最高出力
- 87ps/8,250rpm
- 最大トルク
- 78Nm / 6,250rpm
- トランスミッション
- 6速
- 圧縮比
- 11.0:1
- 全長
- 2,114mm
- 全高
- 1,079mm
- シート高
- 800mm
- ホイールベース
- 1,450mm
- 乾燥重量
- 167kg
- 燃料タンク容量
- 15リットル
- エンジン形式
- L 型2気筒 4バルブ デスモドロミック 空冷
- クラッチ形式
- 湿式多板(APTCスリッパークラッチ装備)
- フロントサスペンション
- ショーワ製43mm倒立フォーク
- リアサスペンション
- プログレッシブリンク ザックス製アジャスタブルモノショック(プリロード/リバウンドダンピングアジャスト)
- フロントブレーキ
- 320mmセミフローティングダブルディスク、ブレンボ製4ピストンキャリパー(ABS標準装備)
- リアブレーキ
- 245mmディスク、2ピストンキャリパー
- 価格
- 119万円
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