スーパーバイク998 DUCATI購入ガイド

Superbike 998

996シリーズとは一線を画した
テスタストレッタ搭載マシン

ドゥカティが積極的に参戦しているWSBKのベースマシンとなるため、ラインナップの中でもスーパーバイクシリーズは頻繁にアップデートされている。特に1990年代後半からはまずは限定生産のホモロゲマシンを販売し、翌年それを量産モデルでリリースという流れが定着している。今回紹介するスーパーバイク996は、前年のチャンピオンマシンである996Rを下敷きとしており、“テスタストレッタエンジン”を搭載しているのが最大のセールスポイントだ。このエンジンは既存のエンジンよりさらに静粛性を増しただけでなくスムーズかつパワフルな特性を実現。リミッターの効く10250回転まで一気に吹け上がっていく。もちろん数値上でも996の112馬力に対しこちらは136馬力と大幅にパワーアップしている。また、ブレーキをはじめとする足回りもより強化されており、鋭い加速力に対して高い動力性能を確保。エンジンを含め、一線を画した完成度を誇っている。

ベースモデルと同時にラインナップされたホモロゲマシンであるスーパーバイク998Rも忘れてはならない存在だ。こちらは超ショートストロークで139馬力を発生する専用のテスタストレッタエンジンを搭載するほか、カーボン外装や新型のマルケジーニ製軽量ホイールで武装されている。

細かい部分ではブレーキのマスターシリンダー径まで調整されており、世界を戦うレーシングマシンのベースとして不足の無い仕上がりだ。当時価格で300万円と抜きん出て高額だが、それに見合うだけの豪華装備と言えるだろう。

996で採用されていたクランクケースを改良し、テスタストレッタシリンダーヘッドを搭載。ベーシックモデルである998でも最高出力136hp（ビポストは123馬力）をマークする。EFIを制御するECUには超小型軽量のマレリ製5.9Mタイプを採用。この仕様は2001年限定モデルの996Rと同仕様である。

748R/996Rに引き続き、FIテクノロジーのフィードバックを受けたレインドロップ式インジェクターを採用している。

最高峰である998シリーズは全てのモデルでオーリンズ製リアショックを採用。サーキット走行の際には綿密なセッティング変更が可能だ。

ショーワ製のインナーチューブ径43mmの倒立フォークにはチタンコーティングが施され、素晴らしいサスペンションレスポンスを発揮する。

今もって人気の高い希少モデル
限定バージョンにも注目したい

スーパーバイク998は、同シリーズの中でもかなり販売期間が短かったモデルだ。ホモロゲマシンの996Rをベースに発売されたのが2002年だが、その翌年にはテルブランチがデザインした縦眼ヘッドライトのスーパーバイク999が登場し、世代交代の波に呑み込まれてしまった。そのため日本国内の中古車在庫も非常に少なく、相場も高値安定となっているのが特徴で、場合によっては後継モデルである999より高額な場合もあるほどだ。また、998には2001年度WSBKチャンピオン獲得を記念したモデルがラインナップされているのも注目したいポイント。インターネットでの予約販売が行われたトロイ・ベイリスレプリカとベン・ボストロムレプリカはさらに流通台数が少なく、今から手に入れるのはなかなか難しくなっている。ちなみに、レプリカシリーズはベースモデルである998をベースに、一部998Rの要素を取り入れたスペシャルなもの。もちろんシリアルナンバープレートやライダーのサインが入っているファンにはたまらない仕様だ。当時のレースシーンをにぎわせたインフォストラーダロゴの入ったマシンは、今見ても特別な雰囲気をまとっている。高性能なスポーツマシンとしてだけでなくコレクターアイテムとして見ても、998シリーズは価値のある1台といえるだろう。