インタビューの会場は、ドゥカティ京都。AELLA のパーツを開発・プロデュースし、製作するのはカスノモーターサイクルだが、このドゥカティ京都もまた同社が母体となっているディーラーである。つまり、ドゥカティの専門店が AELLA のお膝元に存在するということであり、ユーザーの声は直接パーツ開発へと届く。特にドゥカティのパーツラインナップが豊富な AELLA にとって、それはとても重要なことなのだ。
AELLA が最初のパーツ(ステップキット)を製作してから 23 年。カスノモーターサイクル代表の糟野 雅治さんは、元国際レーシングライダーで、ライディングにおける操作フィーリングやライディングポジションには徹底的にこだわるタイプ。レースの世界では当たり前のカスタマイズを外国製スポーツバイクで実践した。それが AELLA の製品群である。
日本人の体格や乗り方、バイクの使われ方を考慮したパーツ開発は、基本的にユーザーサイドに立った視点で考えられている。そして、その品質とアフターケアを万全にするということも大きな特徴である。たとえ転倒などのアクシデントでパーツの一部だけが破損しても、細かく修理することが可能。これは海外製のパーツでは、まずあり得ない AELLA だけの特典とさえ言えるだろう。
インタビューに応じてくれたのは、モンスター1100EVO が愛車の飯田 直生さんとモンスター796 が愛車の森 比奈さん。飯田さんはすでに AELLA 製品を装着しているライダーである。森さんは現状ではまだノーマルの車両だが、今後は乗りやすさを追求する意味でも、AELLA のパーツに興味があるという活発な女性ライダーだ。
「交換したのは、ハンドルバー、フロントのアクスルシャフト、ステップ、リアサスペンション、内圧コントロールバルブです」
「いや、2台目ですね。以前は空冷のモンスターに乗っていました。高校生のころからバイクが好きで、国産車をいろいろ乗り継いだ後、スタイルが好きなモンスター800 を安く中古で手に入れたんです。自分でメンテナンスしながら乗っていて、その時期からドゥカティ京都に通うようになりました。そして空冷モンスターがラインナップから消えると聞いて、このモンスター1100EVO を購入しました」
「僕は長距離ツーリングも楽しむライダーなので、自分の体格に合ったライディングポジションの調整と、操作フィーリングの快適さを狙ったパーツチョイスですね。荷物を積んでキャンプツーリング等にも行くので、乗車姿勢の適正化は重要なファクターでした」
「スロットルオフの減速時に急激なエンジンブレーキがかからず、エンジンがとてもスムーズな印象になりましたね。だからブレーキングに集中できる。加速時も扱いやすくなりました」
「ウチは両親がライダーなんです。一時は降りていたので、リターンライダーですね。父親は BMW に、母親はハーレーに乗っています。でも、私がバイクに乗ることは反対していて、高校時代には乗れなかったですね。一つ間違えば危ない要素を含んでいる乗り物だということをわかっている二人だから、私が未成年だったころは、反対という立場をとっていました」
「いえ、母親が乗っていたヤマハのドラッグスター250 が最初です。母がハーレーに乗り換えるというので、21 歳のときに譲ってもらいました。大型二輪ならハーレーかなと思った時期もありましたが、もっとスポーティで速いバイクにも乗ってみたかった。それで、以前からスタイルが好みだったドゥカティのモンスター796 を購入したんです」
「足つきに少し不安があるので、リアサスペンションは交換したいですね。でもスプリングはオーリンズのイエローが好みなので、どちらにするか悩みますね。それから、ハンドルバーとレバーも AELLA のパーツに交換したい。ノーマルのハンドルバーは私には幅が少し広くて、なおかつ先端の絞りが足りないイメージですね。レバーは、立ちゴケして折ってしまったから、やっぱり可倒式のレバーというのはとても魅力がありますね」
AELLA の製品は、ほとんどが自社工場で製作されている。マシニングセンタなどの精密加工機械を使用したきめ細かいパーツ製作は、その製品精度も折り紙つき。品質の高い製品に仕上がっている。特にライディングポジションを決定する機能パーツの精度や調整幅の広さは、ほかに類を見ないものだ。人それぞれに体格の差があるのに、バイクの操作系が単一で良いはずがない。そのために考え、開発されているのが AELLA の製品群なのである。近年は、そんな機能優先のパーツに加えて、愛車のワンポイントアクセントにもなるスライダーや各種カバー、フィラーキャップなども販売。その高品位なデザインワークは、ドレスアップパーツとしての価値も高いのだ。