【海外試乗速報】959パニガーレ メディア向け発表会
- 掲載日/2015年12月18日【トピックス】
- 取材協力/Ducati Japan 文/和歌山 利宏 写真/Ducati、和歌山 利宏
959パニガーレは、従来型899パニガーレの898ccから955ccに排気量を拡大させ、ユーロ4に適合させたモデルである。全域で出力アップを果たし、カウリング類も刷新されて空力特性を改善。車体ディメンジョンも煮詰められて、ハンドリングもより魅力的なものとなっている。
刷新されたミッド・パニガーレ
それはベストバランス形でもあった
ドゥカティのスーパーバイクであるパニガーレに959というニューモデルが登場し、スペインのヴァレンシアサーキットで国際試乗会が行われました。この959パニガーレは、2013年に登場した899パニガーレ の後継であり、エンジンをスケールアップし、排出ガス基準のより厳しいユーロ4にも適合させたモデルです。
悪い見方をすると、ユーロ4に合わせるため、犠牲になるであろう出力低下分を排気量アップで補ったということになりかねませんが、まったくそのようなことはありません。実際は、排気量の拡大分以上に動力性能が充実し、走りもグレードアップされていました。確かに、マフラーが大型化することなどで、車両重量が増加しているのですが、パワーウエイトレシオはむしろ小さくなっているのです。
それに何より、959パニガーレはスーパースポーツモデルとしてのベストバランス形。とてつもない過剰なパワーに振り回されることなく、マシンコントロールを心底楽しめるのです。最高出力157hpとはいえ、サーキットでさえ十分なエキサイティングさです。“これぞスーパースポーツ”と思わずにはいられませんでした。
フォトTOPICS(写真点数/17枚)
01スペインのヴァレンシアは、ほんの3週間前にMotoGPの最終戦が行われたサーキットでもある。そのときと同様、ドゥカティ・コルセのケータリングサービスが我々ジャーナリストに素晴らしいイタリアンランチを提供してくれた。
02特設レストラン内で行われたカンファレンスでは、マーケティング・マネージャーのポール・ヴェンチューラ氏(右)とプロジェクト・マネージャーであるステファーノ・ストラッパツォン氏(左)によって、959パニガーレの説明が進んだ。
03試乗車は、全車レッドホイールが組み合わされるアークティックホワイトシルク色であった(当然、ブラックホイール装着のレッド色も市販される)。また、キットパーツ装着車の試乗車も用意された。タイヤは、ピレリのスーパーコルサSCで、試乗前はタイヤウォーマーで温められる。
04コーナリングは、899パニガーレよりもさらに素直になった印象で、気持ち良く駆っていける。中回転域のトルクが強化された上に、ツインインジェクター化されたことで、スロットルでマシンを操りやすくなっている。
05スイングアームピボットの高さが4mm低くなったことで、スロットルを開けたときに、やんわりとリアが沈む性格が強くなった。フレンドリーでトラクションもかけやすい。ステップバーが削り出し品となったことで、ホールド感も抜群である。
06初代型といえる1199パニガーレのキャスター角は24.5°であったが、2年前の899パニガーレで24.0°に立ち、以降のモデルは1299パニガーレも959パニガーレも同じ値を踏襲する。車体ディメンジョンは、2次減速比の違いでスイングアームが伸び、5mmホイールベースが長くなった。
07リアフォルムも1299パニガーレに近いものになったが、959パニガーレのリアカウルはタンデムライディングを考慮したデザインとなっている。
08フロントカウルは1299パニガーレと同様、ややワイドになり、ヘッドライトも基本形状を同様に受け継ぐが、フルLED式ではなく、一般的なマルチリフレクター式となる。エアインテークもライト下からサイドに移動した。カウルのワイド化に伴い、バックミラーのステーが短くなっている。
09エンジンは、ストロークアップによって排気量を895ccから955ccに拡大。最高出力は9hp増の157hpを発揮する。メカノイズ低減のため、シリンダヘッドカバーとケースカバーはリブ入りとなり、タイミングチェーンやギア、テンショナーも新設計された。セルフサーボ式スリッパークラッチを新たに装備する。
10サイレンサーは日本向けの1299パニガーレと同じ2本出しとなった。日本の厳しい騒音規制をクリアさせることが、ユーロ4への適合に大いに貢献したといったところだ。ただし、当初の1299パニガーレ日本仕様とは異なり、サイレンサー前部のガードが低くえぐられ、踵と干渉しないように考慮される。
11フォークオフセットが30mmであることなどに変更はなく、この仕様はパニガーレ全モデルに共通となる。フロントフォークはショーワのビッグピストンフォークだ。899パニガーレ同様に、ザックスのステアリングダンパーも装備される。
12アルミ鋳造のスイングアームは、1299パニガーレでは片持ちだが、959パニガーレでは両持ちである。スイングアームそのものは899パニガーレから引き継がれるが、2次減速比の違いでアーム長は5mm長くなる。
13リアショックユニットは、ザックスのフルアジャスタブル。パニガーレの特徴として左側にオフセットされ、やや横向きにセットしている。
14ステップバーは、1299パニガーレに倣い、アルミ削り出し品となった。質感が高いだけでなく、ブーツへの食い付き感に優れる。
15ライディングポジションは899パニガーレから引き継がれ、ハンドル、シート、ステップ3点の位置関係もパニガーレ全モデルに共通である。足つき性も悪くない。スーパースポーツモデルとしては標準的なポジションだが、ハンドルバーはやや開き気味の印象だ。
16キットパーツのスリップオンマフラーなどを装備した車両にも試乗できた。レスポンスが小気味良く、バックミラーやテールランプ、ライセンスホルダーなどが外され、マフラーも1.6kg軽量であるため、スポーティな印象が一層高まっていた。
17スーパースポーツモデルにとっての理想バランス形を思わせる959パニガーレ。“これぞスーパースポーツ”といった印象で、サーキット走行を心底楽しんでしまった。
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