【海外試乗速報】ハイパーモタード939SP メディア向け発表会
- 掲載日/2016年03月09日【トピックス】
- 取材協力/Ducati Japan 文/佐川 健太郎 写真/Ducati、佐川 健太郎
ウエットからセミウエットという難しい路面コンディションでの試乗だったが、それがかえって『ハイパーモタード939SP』のドライバビリティの良さを際立たせた。
排気量アップでより力強く
エキサイティングに正常進化
2016年にデビューするハイパーモタード939シリーズのプレス向け国際試乗会に参加してきました。会場となったのは、スペインのバルセロナ近郊にあるカステローリ・サーキット。のどかな自然に囲まれた本格的レーシングコースです。まずは今回のシリーズの中でも上級モデルに位置づけられる『ハイパーモタード939SP』のトラックテストが行われました。
新型と従来型ハイパーモタードとの大きな違いはエンジンです。水冷のL型2気筒エンジンは、基本的には従来を継承したテスタストレッタ11°ですが、ボアを拡大して排気量を821ccから937ccに拡大。ピークパワーでも3ps強のアップを果たしていますが、注目すべきは常用域で最大18%もトルクアップしていることでしょう。車体に関しては、ほぼこれまでどおりで、特別に変更箇所のアナウンスはありませんでした。とはいえ、ECUの設定をはじめ、排気系も新設計となるなど、細かい部分にはいろいろと見直しがなされています。
あいにくの天候で、コースコンディションはウエット。ピレリ製のレインタイヤを履いてのスタートです。跨ってみると、スタンダードのハイパーモタード939よりシート高が20mm高い890mmに設定されたハイパーモタード939SPは、さすがに足つきが良いとは言えません。ただ、細身のシートと初期荷重での沈み込み量が豊富なオーリンズ製サスペンションによって、数値ほどには高さを感じませんでした。
ライディングモードを『ウエット』に設定して走り始めますが、意外にもスムーズな出足に、肩の力が抜けていきました。出力特性と馬力そのものがセーブされるため、まさにウエット向きの穏やかなドライバビリティとなります。徐々にコースに慣れてきたところで『スポーツ』、そして『レース』へとモードを切り替えてみましたが、エンジンのキャラクターが豹変することはなく、同じフィーリングのまま、より俊敏に力強く加速する感じでした。
モードによってABSやトラクションコントロールの介入度も最適化されます。最初は慣れないこともあり、『ウエット』モードでの安心感を優先したのですが、体がマシンの挙動に順応してくると、よりダイレクトな『スポーツ』モードのほうが楽しめました。ドライ路面であれば、電子制御の介入度が低くフルパワーを引き出せる『レース』モードで思い切りサーキットを駆け抜けるのが楽しいはずです。
ハンドリングは、モタードの名に恥じない軽快さが持ち味。その一方で、足長バイク特有のフワフワ感があり、フル加速中にギャップに乗るとフロントの接地感がやや薄くなるシーンもありました。でも、これもモタードらしさの裏返しであって、慣れてくれば、むしろオーリンズ製サスペンションの滑らかでグレード感たっぷりの“猫足”の虜になってしまうはず。これこそが後日またレポートするハイパーモタード939(スタンダードモデル)との差を最も大きく感じた部分です。
モタードスタイルのロードスポーツという異端のマシンではありますが、見た目によらず扱いやすく、それでいて上級者にはエキサイティングな走りで応えてくれる。まさに正常進化と言える仕上がりでしょう。
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