ドゥカティ新型ディアベル1260Sの海外試乗インプレッション
- 掲載日/2019年05月09日【試乗インプレッション】
- 写真:DUCATI 取材協力:DUCATI JAPAN 取材・文/鈴木 大五郎
見た目からは全く想像出来ない乗り易さを備えたディアベルの世界。第2章。
2010年にデビューしたディアベルは、迫力あるマッチョなボディにスーパーバイク由来のハイパワーエンジンを搭載。かなり手強そうなパッケージングと想像されたのであるが、実際のマシンはむしろ同社のスポーツ系モデルよりもイージーな取り回しと乗り味で、ドゥカティにあらたな世界観を取り込むことに成功した。
とくに感心したのは、スーパーバイク系のエンジン性能をじっくりと堪能出来ること。車体設定からしてもハードルが高く、楽しむ余裕をもつことがなかなか難しいこのエンジンを、もっとリラックスした状態で味わうことが可能となったのである。あらためてLツインエンジンの魅力を感じる機会になったのは、直線だけでも楽しめるというマシンのキャラクターによるところが大きい。ドゥカティらしい、コーナーリングマシンという存在は、一方ではライディングに対するプレッシャーも与えることにもつながっていたのであるが、ディアベルは難しいパートを考えることなく、ノンプレッシャーでエンジン性能を満喫することが出来たのである。
それでいて、直線番長のようなキャラクターにとどまっていなかったのはさすがドゥカティといえるだろう。長いホイールベースや240という超ワイドなリアタイヤを感じることのないほど、想像以上に高いコーナーリング性能も確保。意外なスポーティさをも感じることの出来るマシンであった。
そんなディアベルがフルモデルチェンジ。
スペイン・マラガにてテストは行なわれた。試乗モデルは前後の足回りやクイックシフト、クルーズコントロール等が標準装備されたSバージョンである。ブラッシュアップされたボディワークはやはり迫力あるもので、大柄にも見えるものの、跨ってみても非常に足つき性が良い。ハンドル位置もさほど遠くなく、見た目以上にコンパクトなライディングポジションとなっている。
搭載されるエンジンは、Xディアベルに搭載されるものをベースとした1262ccとなるテスタストレッタDVTエンジン。従来型と比較すると、驚くほど開け始めがマイルドで、低速域で神経を使うことのない扱い易さを持っている。例えば街中でのスロー走行やUターン等、これまであまり得意ではなかったようなシチュエーションでの操作性が格段に高まっている。
唐突にパワーが盛り上がるようなこともなく、開ければそれはもう凄まじいダッシュ力を備えてはいるものの、そんな爆弾を抱えているようなプレッシャーを全く感じることなく普段使いできるエンジンとなっているのだ。そして、組み合わされる車体がこれまた素晴しく扱い易いものとなっている。
従来モデルと比較すれば、あきらかに柔軟であり、かつ軽快。車体からのフィードバックがソフトで安心感がいきなり高い。そして、この長い車体も太いタイヤも全くイメージが出来ないほどスイスイとバンクしていく。バンク角も思いのほか深く、かなりのハイペースでワインディングを攻め立ててもそれが弊害になるようなこともない。
バンクしてからの旋回力がもう少し……と感じるのはそこまでのプロセスがあまりにもスムーズで、スポーツバイクのイメージで考えてしまうからだろう。ディアベルであることを思い出せば、むしろ驚きのハンドリングと旋回性。カリカリのスポーツネイキッドほどのスポーツ性は持っていないものの、いわゆるスポーティなネイキッドマシンと遜色ないほどのスポーツ性能を持っていることに驚かされるのだ。ブレーキの高い制動力。アップ&ダウン対応のオートシフター等、小気味良い操作をサポートする装備はスポーツバイクで実績のあるものだけに、その感触にもキレがある。
その一方、クルーザーらしいのんびりした走りや、思いっきり伏せてドラッグマシンイメージで直線をかっ飛ばすなどと、幅広い走りに対応する懐の深さも見せる。ライディングモードによるキャラクターの変化も面白く、アグレッシブさとともに、より乗り易いマシンに変貌を遂げている。
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