南ドイツで開催されたビンテージ・ヒルクライムレース「2019Auerberg Klassik/アウアーベルグ・クラシック」
- 掲載日/2019年11月01日【トピックス】
- 取材協力/Auerberg Klassik 取材・写真・文/河野 正士
スタートフラッグが振られ、タイムアタックする250cc単気筒のDucati 250 königswelle。
ドゥカティの歴史的車両も展示されたビンテージ・ヒルクライムレース
「Auerberg Klassik/アウアーベルグ・クラシック」
今年9月、オーストリアに近い南ドイツの街/Bernbeuren(ベルンボイレン)で、クラシックバイクによるヒルクライムレース「Auerberg Klassik/アウアーベルグ・クラシック」が開催された。普段は地元住民が使用する舗装されたワインディングを封鎖し、その区間の走行タイムを競うヒルクライムレースは、古くからヨーロッパ各地で開催されてきた。このアウアーベルグ・クラシックもそのひとつ。1967年から1987年までのあいだ、同じ場所で、毎年9月の第3日曜日に「Auerbergrennen/アウアーベルグレンネン」という名前で開催されていた、ヒルクライムレースの復活版である。
当時は二輪および四輪のタイムアタックが行われていたが、2017年に復活してからは二輪のみタイムアタックを開催。復活後、2年毎開催を計画し、今年2回目の開催となった。
出場車両は1979年以前に生産されたモデル。オリジナルコンディションにこだわらず、レストアやカスタムされた車両も参加可能だ。200台以上のエントリーが集まったこのイベントには、個人オーナーが所有するファクトリーレーサーなど、ドゥカティの歴史的車両が数多く展示され、そのなかの数台はレースにも参加した。ここでは、その様子を紹介しよう。
スタート地点には、計測スタートを記すスターティングゲートが用意されている。ゼッケン順にスタートし、それまでこうやって静かに待つのである。
特別に参加が許された1981年式のDucati TT2レプリカマシン。とにかくスリムで、美しい。
Ducati TTF1 レプリカ。トニー・ルター(当時はラッターと呼んだが……)がTT-F2クラスを戦ったファクトリーマシンを模して製作されている。
美しい450デスモ。現代でも十分に速く、そして楽しく走ることができる単気筒マシンである。
日本から参加した小坂俊之さん。熊本・天草でスイッチスタンス・ライディングというカスタムファクトリーをオープンさせている。昨年はこのマシンで、カスタムバイクによる欧州のスプリントレース選手権「Sultans of Sprint」にも参戦した。
とにかく美しいコンディションだった750GT。
コーナーを果敢に攻める350デスモ。
スポーツ施設の駐車場を利用したパドックから、200台あまりの参加車両がスタート地点まで一斉に移動する。
「AuerbergKlassik」を復活させた5人の男たち。中央でマイクを握るのが、このベルンボイレンで育ち、現在はフォトグラファーや雑誌の編集者として活躍するヘアマン・コーフ。ドゥカティ・パンタの熱狂的なファンで、自ら造り上げたマシンでレースにも参加した。
コースを見下ろす丘に腰を下ろし、ノンビリとレースを観戦する人々。コースは約2kmのワインディングだ。
レースを終えた約200台のマシンが一斉に山を下り、パドックへ向かう。観客はコース脇に並び、それを迎える。
メイン会場にある教会の広場に、ミニ・ドゥカティミュージアムが開かれていた。このマシンは、フレームファクトリー/コバスのフレームを使ったTT-F1マシン。流麗なラインを持つデュアルヘッドライト付きカウルが特徴。ステファノ・カラッキがライディングした。
1985年の750 F1パンタ・エンデュランスレーサー。マルコ・ルッキネリがライディング。
1979年式、排気量950ccのベベルギア式のデスモエンジンを抱くファクトリーマシン。ベンジャミン・グラウがライディング。
排気量860ccのベベルギア式デスモエンジンを抱く耐久レーサー。ジョージ・マーティンが製作したフレームで、当時6台のみ製作された。
ボローニャのドゥカティ・ファクトリーがプライベーターのために製作し販売したプロダクションレーサー。排気量860ccのベベルギア式デスモエンジンを搭載している。
1978年式のファクトリー仕様の耐久レーサー。ベベルギア式の864ccデスモエンジンを搭載。ベンジャミン・グラウとビクター・パロモがライディングした。
1960年にマイク・ヘイルウッドが駆った並列2気筒の350ccデスモエンジンを搭載したレーシングマシン。