ドゥカティのスクランブラー アイコンを試乗インプレッション!軽量化+電子制御でファッショナブルかつ高性能に
- 掲載日/2023年09月05日【試乗インプレッション】
- 取材・文/伊井 覚 写真/井上 演
60年以上にも及ぶ
ドゥカティスクランブラーの歴史
そもそもスクランブラーとはなんだろうか。その起源は1950年代にアメリカで大流行したオフロードカスタムだと言われている。1960年代になると各メーカーがスクランブラーモデルをリリースし始め、ドゥカティも例に漏れず、1962年に初のスクランブラーモデルとなるScramblar250を発売。その後、350、450も発売し、1974年モデルで一度その歴史に幕を下ろした。そして2015年には現在の800ccスクランブラーが登場。初代の登場から60年以上経つ今でもドゥカティ スクランブラーの血脈は受け継がれ、世界中で多くのライダーに愛され続けている。
ドゥカティ スクランブラー アイコンの特徴
スクランブラーとファッションの関係
そもそもがオフロードを走るためのカスタムだったはずのスクランブラーだが、そのキャッチーなルックスのおかげでファッション性を重視するモデルが出てきているのも特徴だ。現在ドゥカティのスクランブラーモデルにもオフロードタイヤを装着したアップフェンダーのものや、アップマフラーを装備した1100ccのものがラインナップされているが、どれもスタイリッシュでファッション性に優れたモデルだという点は、60年代から変わっていない。
新しいスクランブラーアイコンにしてもベースカラーを’62 Yellow、Thrilling Black、Ducati Redとしつつ、Storm Green、Rio Celeste、Tangerine Orange、Jade Green、Sparking Blue、Velvet Redのカバーキットを販売しており、Full ThrottleやNightshiftを始めとした別デザインもラインナップされていることが、ファッションに対する強いこだわりを感じさせる。
ドゥカティ スクランブラー アイコンの試乗インプレッション
低回転の扱いやすさが秀逸
電子制御が追加されアップデート
さて、車両の話に戻そう。昨年までのモデルからフルモデルチェンジと言っても差し支えないほどの変更が施されていた。エンジンやフレームの素材や形状を見直し、ヘッドライトやウインカーなどをフルLED化、メーターも4.3インチTFTインストルメントパネルとなり、装備重量にして4kgの軽量化を果たしている。
スイングアームの構造やホイールのスポーク形状も変わっているが、パッと見てわかる一番大きな変化は排気系の取り回しだろう。これまでは前後のシリンダーから出ていたエキゾーストパイプが車体右側を通過し、エンジン下で2 in 1となりサイレンサーへと至る経路を取っていたが、今モデルは前シリンダーから出たエキゾーストパイプが車体右側を通って最短距離で後シリンダーの出口へ合流。そこで2 in 1となり、エンジン下後方に設置されたコンバーターへ至り、サイレンサーへと繋がっている。
また、スロットルバイワイヤを採用し、スロットルを電子制御化したことでライディングモードの変更が可能となった。ROADとSPORTの2パターンから選択でき、シーンによってスロットル特性やDTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)のレベルを変更できるようになった。
低回転ではアイドリングから少し開けた程度のパーシャル(1,500〜2,000回転付近)でもエンジンがストールしそうになることなく、かなり扱いやすい。最高出力は73PS/8,250rpmとなっているが、6,000回転より上でタコメーターの背景が黄色くなり、7,500回転以上ではまるでギアが一段上がったかのように前に押し出されるような感覚がある。軽快に回る、というよりは、力強いトルクをしっかり感じるエンジンに仕上がっている。
車体では特にハンドルバーに注目したい。テーパー形状でこそないが、かなり剛性が高めで、大きくしなったり振動が疲れに繋がったりする感覚はない。かなり長めに設計されていて、セルフステアがとてもやりやすく、コーナーで旋回している時も思い通りのラインで走ることができた。さらに両端が手前にオフセットしているため、自然とグリップの握り方が「ドアノブ握り」になる。これはモトクロスなどオフロードバイクのライダーに推奨されるグリップの握り方で、スロットルが回しやすいだけでなく、手首を痛めにくかったり疲れにくいといった利点がある。
ハンドル切れ角はあまり大きくないが、キャスター角は24°とかなり鋭角なため、小回りはよく効く。スタンディングフォームも取りやすいし、前後17インチではあるがブロックパターンのタイヤを標準装着しており、ダート走行もしっかり視野に入れて作られているのがわかる。
もともと様々な用途や乗り方に幅広く対応してくれる、非常に懐の深いマシンだったが、軽量化と電子制御化によって更なる進化を遂げていた。
ドゥカティ スクランブラー アイコンの詳細写真
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