スーパーバイク996 DUCATI購入ガイド

Superbike 996

完成の域に達した
スーパーバイクのスタンダード

ドゥカティのフラッグシップモデルと言えば、やはり大排気量の水冷Lツインエンジンを搭載したスーパーバイクシリーズだ。今回紹介する「スーパーバイク996」は、1999年から2002年まで活躍したモデルで、モノポストはそれの一人乗り仕様だ。本国などではタンデムができるビポストがラインナップされていたが、需要の関係で日本向けとしてはモノポストとスペシャルバージョンのSPSが導入されていた。996SPSはレースを見据えた仕様だが、モノポストはスタンダードモデルとしてストリートでの乗り易さも考慮されているところが大きく異なっている。

しかし、スタンダードではあるが高額な車両であることに違いは無く、パフォーマンスも非常に高い。996ccの水冷4バルブデスモユニットは112hp/8500rpmを叩き出し、サスペンションはショーワのフルアジャスタブルタイプ、しかもフロントフォークはチタンコート済みのものが奢られており、ホイールもマルケジーニの軽量なアルミ製だ。

これが996SPSの場合だと、前後ともにオーリンズ製サスペンションとなり、パワーも123hp/9500rpmと強力なものになる。996モノポストのエンジンはフラットなトルクがスムーズに伸びていく味付けで、ワインディングを楽しめる仕上がりだ。サスペンションも公道レベルで十分にストロークするため、いわゆるレーシングスピードで無くてもスーパーバイクの面白さを味わえるものとなっている。996SPSの方がスペックは高いが、性能をきっちり使い切ろうすると高レベルのテクニックが必要だ。その点こちらは走行シチュエーションの幅が広く、より多くのライダーを受け入れてくれる。公道を走るスポーツバイクとして見ると、その実力はすでに完成の域に達していると言えるだろう。

低速からスムーズなトルクを発生し、ワインディングなどでも扱いやすいのが996モノポストの良さ。公道がメインなら996SPSよりこちらに分がある。

トップブリッジの手前にはステアリングダンパーが装着されているが、996ではショーワ製が採用されている。

フロントブレーキはブレンボ製。インナーチューブのチタンコーティングは2000年モデルからの標準装備。

マルケジーニ製の5本スポークホイールは素材がアルミながら軽量な設計だ。

リーズナブルなモノポストと
ハイエンドなSPSの選択肢

996モノポストはスーパーバイクシリーズの中でも、非常にリーズナブルな価格で落ち着いているモデルだ。2000年当時の定価は223万だったが、中古車両になると半額どころか1/3くらいまで下がっている在庫も存在する。すでに初期型だと10年落ちになってしまうが、前モデルである916がまだまだ人気を保っていることを考えると、驚きのプライスと言えるだろう。それに対して996SPSはまだ比較的高値を維持しているが、それでもドゥカティの中古市場においては低価格。916系の人気がいまだに高いことと、996の後に発売された998が希少なこともあり、ある種穴場的な価格となっていることは否めない。ただ、モデル的には現在の1198より4世代前のモデルとなるため、これから維持していくとすればある程度のメンテナンスコストを見込んでおく必要はあるだろう。

また、装備面で見ると2000年以降のモデルがおすすめだ。フロントブレーキのチタンコーティングははじまったのはこの年。エンジンのシリンダーガスケットもメタルガスケットに変更されており、信頼性が高まっている。インジェクションについてもより細やかなマッピングが行われているのも特徴だ。特にサスペンションの差は、購入後のカスタムで補おうとすると高額になる。その点も踏まえて車両探しをすることが肝要だろう。