ドゥカティ 125 グランプリ
- 掲載日/2009年10月20日【歴史あるドゥカティを知る】
- 構成/VIRGIN DUCATI.com 編集部
モトジーロディタリア制覇のためのツインカム
ドゥカティの歴史に刻まれるダブルノッカー
マリアンナの成功で自信をつけたタリオーニは、世界の頂点であるグランプリへの参入を決めた。その1956年はチャンピオンを維持し続けるMVアグスタの他に、モンディアルやジレラ、それにMZなどといった名だたるメーカーがしのぎを削る厳しい年でもあった。まだ若いドゥカティにはレースに掛ける予算に限りがあり、そこでタリオーニはビアルベロ(DOHC)ヘッドを作り、それをマリアンナのエンジンに載せる方法を選んだ。
レースでの勝利を近いヘッドにはグランプリの文字が刻まれたのだが、57年の開幕戦を前にライバル達は想像以上に速くなっていることが分かったのだ。グランプリでの勝利はより高度な加工技術を要するデスモに任せるとして、ビアルベロはイタリア国内外のフォーミュラ2選手権などで活躍することができた。
シリンダーからは下はそのままで、ヘッドだけを取り替えてバージョンアップをさせるのがタリオーニお得意の技。それにより、出力はマリアンナの12psから30%アップの15.5ps/10500rpmとなり、この1958年型ではさらに17ps/12500rpmまで上げられた。ちなみにデスモヘッドは18ps/12500rpmで、数字だけではあまり差が無いように見えた。
この125グランプリ(ビアルベロ)は最初の年、マリアンヌのフレームをベースにアンダーパイプを取り付けたものが使われたが、翌1958年には新しく設計されたダブルクレードルタイプとなった。フレームと同時にクランクケース形状も変更され、各部が強化されたのである。2年間のみ生産された125グランプリは、合計で約50台が世界中の優秀なライダー達の手に渡り、各国のサーキットで数々の勝利を掴んでいったのだった。
125 グランプリの詳細写真
フレームの弱さが顕著に表れたため、急遽エンジンを包み込むダブルクレードルタイプが設計された。美しいデザインであるが、これが公道モデルとして登場することはなかった。
SSI 27Aが装着されているが、これはイタリアジュニア(F2)選手権ではなく、より上のカテゴリーを走るためのもの。ジュニアクラスのキャブレターサイズは22.5mmまでと決められていた。
12000rpmまで目盛りが刻まれているスミス製グランプリメーター。多くのレーサーに装着されていた精度の高い逸品。マグネットタイプ。
前輪まですっぽりと覆い隠していたダストピンカウル時代の名残を残すフォークブラケット。プレス成型されたスチールパネルによるボックス構造で、上下のブラケットを一体化して強度を保っている。
ブレーキはマグネシウムハブを持つアマドーリ製が前後に装着されている。フロントは180mmのダブルパネルで、リアは160mm。これはワークスのデスモマシンも同じであった。前年まではタイヤを覆うダストピンカウルに合わせて、エアスクープが大きく下に張り出されていたが、ダストピンカウルが禁止され、エアスクープの位置も変えられた。
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