ムルティストラーダ1100S DUCATI購入ガイド

Multistrada 1100 S

テーパーハンドルも装備する
ムルティの正常進化版

2007年に発売されたムルティストラーダ1100シリーズは、ドゥカティ初のデュアルパーパスとして爆発的にヒットしたムルティストラーダ1000 の正常進化版です。その先代が排気量992ccのデュアルスパークエンジンを初採用したモデルだったように、このムルティストラーダ1100シリーズにもドゥカティの新しい試みが盛り込まれています。他のモデルに先駆けて搭載した排気量1078ccのエンジンと湿式クラッチに加えて、ラバーマウント式のハンドルポストを採用したことによって、操作の負担や不快な音と振動の軽減を図っていました。

今回紹介するムルティストラーダ1100S はその上位モデルで、剛性の高いテーパーハンドルも装備し、より安定した走りを実現しています。もちろんこのムルティストラーダ1100S は、オーリンズ製のチタンコート前後サスペンション、フロントフェンダー＆カムベルトカバーなどの各種カーボンパーツが付いた “ドゥカティの上位機種” にふさわしい豪華モデルでした。

デュアルスパークエンジンは1078ccになり、湿式に変更されたクラッチと合わせて、さらに乗りやすくなっています。

モデルラインナップ期間年表

	ムルティストラーダ 1000DS	ムルティストラーダ 1000S DS	ムルティストラーダ 1100
2003	ムルティストラーダ発売
2004
2005		上位モデルのＳ追加
2006
2007			1078ccに変更
2008
2009

当時の思い出話

GS と比較検討された上で
軽さとスポーツ性で選ばれる

ムルティストラーダシリーズは、その斬新なデザインとオールラウンド性能によって、同じドゥカティから発売されていた ST3 や ST3S ABS などのスポーツツーリングシリーズからユーザーを奪う形で新車販売を伸ばしました。しかし、新たに進んだその道にはデュアルパーパスの王者 BMW R 1200 GS がいたのです。デビュー当初のムルティストラーダ1000 で 136万5000円だった新車価格も、熟成を重ねるたびに上昇し、2007年に登場したこのムルティストラーダ1100S では 162万9000円になり、2009年には 171万5000円に達しました。当店で購入を検討されていた方々は、199万4000円だった R 1200 GS との価格差＝約30万円に悩んでいました。ですが、最終的には R 1200 GS（装備重量 244kg）に対するムルティストラーダ1100S の軽さ（乾燥重量 196kg）と、そこから得られるスポーツ性で選んでもらいましたね。

そうやって購入されたムルティストラーダ1100S は、年間で数万km を走る場合もあり、中古車の中には走行距離の多いものがあります。ただし、そのようなオーナーは欠かさずメンテナンスに持ってきてくれるため、距離を走っていても程度の良い車両が多いのも特徴です。