【海外試乗速報】 ムルティストラーダ1200(2015) メディア向け発表会
- 掲載日/2015年03月20日【トピックス】
- 取材協力/Ducati Japan 文/REI 写真/Ducati、REI
2003年にオンロードスポーツとして登場したムルティストラーダは、2010年に未舗装路も前提としたデュアルパーパスモデルへと姿を変え、2013年にはセミアクティブサスペンションを装備し、欧州ではドゥカティのフラッグシップの座を築いた。
ドゥカティの最新技術を結集した新世代の傑作
上質な快適性と絶対的な速さの両立をここに実現
スペイン領カナリア諸島のランサローテ島で開催された新型ムルティストラーダ1200 の世界試乗会に参加してきました。この島は、大半が赤黒い火山岩で覆われつつも、自然保護区として環境保全が徹底された貴重な緑と美しい海に象徴的な白い建物が並ぶ独特なランドスケープを誇る島です。信号機がわずかにしかない牧歌的なリゾート地で、可変バルブタイミング機構を採用した新エンジン搭載のニューモデルを存分にテストできました。
『4 bikes in 1』というコンセプトをより発展させたムルティストラーダ1200 は、テスタスレッタ DVT エンジンとボッシュ製の先進 IMU(慣性計測ユニット)に、コーナリング中も車体姿勢を安定させてくれる電子制御サスペンション DSS を組み合わせたことで、“バイクそのものが可変する驚異の環境適応能力” を身につけた “究極の正常進化” を遂げていました。あらゆる用途で、そしてすべての道を楽しみたいライダーにおすすめしたい名車の登場です。
フォトTOPICS(写真点数/23枚)
01スペインが領有するランサローテ島は、スペインからは遠く離れた “ほぼアフリカ” と言えるカナリア諸島に位置する。フルモデルチェンジを果たした 2015年モデルのムルティストラーダ1200 の世界試乗会は、この島で開催された。
02会場となった美しい高級リゾートホテルの白い砂浜に『ムルティラウンジ』と名付けられたスペースが用意され、われわれを新型ムルティストラーダが出迎えてくれた。魅惑のロケーション以上に、新型の乗り味が楽しみで心が躍った。
03ホテル内のムルティラウンジでプレスカンファレンスが行われるのかと思いきや、火山の噴火口のような洞窟へと連れられ、なんとそこからは赤い灯が漏れていた。演出好きのイタリア人たちのセンスに脱帽。冒険の始まりだ。
04世界中のメディアが集結し、ムルティストラーダ1200 の技術説明を受ける。イノベーションを得意とするイタリアの赤き技術集団、ドゥカティのエンジニアたちは、3年をかけてムルティストラーダを磨き上げ、いくつもの新技術を投入したと言う。
05『4 bikes in 1(4台のバイクが1台に)』というコンセプトを熟成させたムルティストラーダ1200 は、瞬時に4つの用途に最適化する。『スポーツ』『ツーリング』『アーバン』『エンデューロ』の4つのプリセットを備える。
064種類のカスタマイゼーションパックが用意され、各ステージに必要なハードを追加することで、多様性が武器であるムルティストラーダ1200 の、そんな特性をより強調することができる。各パックを組み合わせることも可能。
07美しいトレリスフレームと片持ちのスイングアームなど、ドゥカティの象徴はそのままに革新的な進化を遂げたのが、DVT(デスモドロミック・バリアブル・タイミング)と DSS(ドゥカティ・スカイフック・サスペンション)だ。
08市販車としては初めて、吸排気の両側で作用する可変バルブタイミング機構を備えたのが、このテスタストレッタ DVT エンジンだ。低回転でも高回転でも状況に応じたパフォーマンスを発揮するための機構で、快適性と速さを完璧に両立している。
09今回の試乗会で用意されたのは、ムルティストラーダ1200 のレッドと、ツーリングパックを装備したムルティストラーダ1200S のホワイトだ。スタンダードモデルは電子制御セミアクティブサスペンションの DSS は非搭載。
10いよいよ試乗のスタートだが、先代からはもはや “別物” と言えるほど進化をしており、究極の正常進化だ。発進しただけで驚いた。これほどまでに、静かに穏やかになめらかに発進ができるドゥカティは初めてだ。
11旧型をもってコンセプトである『4 bikes in 1』は、いよいよ確かな形となり、熟成の域に入ったと認識していたのだが、新型は完成形であり、ドゥカティの最高傑作だと、旧型オーナーの私は考える。いつでも快適で速い、まいった!
12未舗装路での走行も前提としており、マーケットからの要望に応えるために先代からロードクリアランスを 20mm 増大させている。DVT と DSS の進化と相まって、エンデューロでの走破性のみならず、快適性まで向上している。
13特に DVT と DSS、そして DTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)といった電子制御が、4つのライディングモードを洗練させている。しかし、それらがもたらしてくれたのは、運転の自動化ではなく、走ることへのもてなしなのだ。
14日本仕様はローシートが標準装備となり、最も低い状態ではシート高が 800mm となる。シート以下の幅が先代よりも 40mm 削られているため、数値以上の足つきの良さを感じる(ライダーは身長 183cm、体重 64kg)。
15排気量 1200cc でフルサイズのデュアルパーパスモデルでありながら、両足がべったりと接地した。実は、先代ではかかとが浮いていたのだ。両足をまっすぐ下ろせるようになった恩恵がとにかく大きく、ありがたい。
16新型 LED ヘッドライトと、40mm 拡幅された燃料タンク、20mm 広がったサイドカウルが色気を増している。求めたのは、ライダーのための防風性と、デザインによるステータス性の格上げだと言う。艶かしい美しさに見惚れてしまった。
17ボディは肉付きが増したのだが、実はフェイスとテールは先代から大幅に短く切り詰められている。セクシーさとスポーティーさのためだとイタリア人デザイナーは語っていた。ちなみに、説明の大半で “セクシー” という表現が連呼されていた。
18LED ガイド付きのテールランプは、欧州の自動車のトレンドを取り入れた結果かもしれない。かねてから視認性とデザインのどちらもが優れていると思っていたので、バイクにも採用してほしいと期待していたのだが、さすがはドゥカティだ。
19DVT の開発者は、かつて MotoGP 機やスーパーバイク機(1098系)の開発に携わっており、パニガーレのスーパークワドロエンジンの生みの親でもある。スーパーバイク由来のデュアルパーパス、それがムルティストラーダ1200 だ。
20ムルティストラーダ1200S に標準装備となる TFT 液晶インストルメントパネル。ライディングモードに応じて必要な情報が強調されるなど、表示が変化する。サスペンションやトラクションコントールなどのプリセットも自在に変更できる。
21コクピットのデザインが一新された。コントロールスイッチはバックライト付きで、操作性とデザイン性の双方に効果的だ。担当デザイナーは、航空機のコクピットからインスピレーションを受けたと語っていた。
22ヘッドライトに追加された LED が進行方向を照らす DCL(ドゥカティ・コーナリング・ライト)も新機軸。新たに法整備が必要となるため、日本仕様への装着は未定だが、関係各所と調整を進めていると言う。ぜひとも導入してほしい機能だ。
23可変技術によって、バイクそのものが柔軟に環境に適応していくという新しい機能を具体化してくれたのがムルティストラーダ1200 なのではなかろうか。iPhone の Siri のように、バイクが話す日もそう遠くないかもしれない。
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