ライディングの「質」を
とことん追求したデザイン
関西を代表する輸入車ディーラー カスノモーターサイクル がプロデュースするスペシャルパーツブランド、それが AELLA である。元レーシングライダーである代表の糟野雅治氏が自らの経験をもとに 1992年に立ち上げて以来、機能面だけでなく見た目の美しさやバイクを操る上での感性までも織り込んだ、トータルデザインの発想でライディングそのもののクオリティを追求したパーツを開発しているのが特徴だ。企画・研究・開発から設計・製作まで、すべてのプロセスを自社で行う完全なるオリジナルで、CAD による 360度アングルから設計された図面をもとに、全行程を自動で行うマシニングセンタで切削加工の後、さらに時間をかけてひとつひとつ職人が手仕上げを行い完成させるなど、妥協のない作り込みが AELLA の魅力である。
見て使って感動していただける
製品を作っていきたい
代表の糟野が AELLA ブランドを立ち上げた当初から、デザインと機能の融合というテーマを一貫して掘り下げています。当時はレース活動をする中で求めているパーツが見つからず、「それなら自分たちで創ってしまえ」ということで始まったと聞いています。AELLA の由来ですが、パーツへのこだわりが過ぎて製作があまりに大変なことに、糟野が漏らした「あ~、えら~」(京都弁で「とても骨が折れる」の意)のひとことが元になっているとか(笑)。
現在は時代のニーズに合わせてストリート用パーツをメインに開発していますが、考え方としては機能最優先であるレース用パーツで培ったノウハウを生かしつつ、ストリート用としての扱いやすさはもちろん、所有欲を満たすと造形美とフィニッシュなどを盛り込んで製品化しています。ライディングステップでいえば、ドゥカティ、BMW、トライアンフ、MVアグスタ用など全 68 種類。特に注力しているドゥカティ用だけで 23 種類のアイテムを用意しています。総数では 500 アイテム程度になるでしょうか。
カテゴリーとしてはハンドルやステップなどのライディングポジション系のパーツが多いのですが、ハンドルの高さや絞りを車種ごとに最適化したり、ペダルのピッチを日本人の体格に合わせて設定したり、しゅう動部にベアリングを使用するなど操作性にはとことんこだわっています。また、材質も同じアルミ削り出しでもステップバー部分には粘りのある 2000番台をあえて用いるなど、万が一の転倒でも折れずに曲がるだけで帰ってこられるよう、文字どおり適材適所を考えて作り込んでいるのが特徴です。
アフターパーツというものは、機能が良くなるのは当たり前のことで、美しくないと意味がないと思います。パーツ単体で見ても惚れ惚れするような美しさがあり、バイクに装着すれば人目を奪うカッコ良さがある。加えて、本格的なライディングにも耐える強度と耐久性も必要。長時間乗っていても疲れない快適性や、ライディングの楽しさや安全面に直結する操作性など、すべての面でノーマルを上回ってこそアフターパーツの価値があると思っています。手にとってみて、実際に使ってみて、感動していただける製品を作っていきたい。特に輸入モデルに乗られるような目の肥えたユーザーのみなさんには、こうしたトータルデザインとしての AELLA の価値を知っていただけたらうれしいですね。
INTERVIEWER
佐川健太郎 Kentaro SAGAWA
モーターサイクルジャーナリストとして専門誌や WEB 等で新車インプレッションやライテク記事を投稿する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長としてセーフティライディングの普及にも努める。用品テストやカスタムモデルの試乗経験も豊富。
Diavel
本来のスポーティさを引き出す
上質なライポジカスタム
AELLA のパーツを装着したドゥカティ京都のディアベルに試乗してみた。変更されている点はおもにライポジ系とクラッチレリーズ、そして機能性を兼ねたドレスアップパーツで飾られている。まず、跨ってすぐにわかるのはライポジの違い。ノーマルはどちらかというとクルーザー的なポジション。つまり、ハンドルが遠く高いところにあり、ステップは低く前方にあるため、腰が引けた感じになる。特に国内仕様のシートは低いためその傾向が強く、電子制御の「スポーツモード」でキビキビ走りたいときなどは少々違和感があった。それが、AELLA 装着車はハンドル位置が手前に低くセットされ、ステップも程良く高く後退しているため、自然なネイキッド的なフォームになる。おまけにシートも純正オプションのコンフォートタイプが装着され、座面も高くフラットになっているので、着座位置も自由に移動でき腰への負担も少ない。ハンドルが近くなったおかげで、Uターンなどでフルステアしたときも外側の腕が伸び切らずに済む。全体的にコンパクトになりステップの踏ん張り感も増して、“スポーツできる” ポジションになったというわけだ。ディアベルのポテンシャルを考えれば、もしかしたらこちらが本来のライポジかと思うほど、フィットしていたのが驚きだった。
また、クラッチレリーズキットのおかげでクラッチ操作もだいぶ軽くなっているため、ストップ&ゴーが多い街乗りでも苦にならない点も良い。そして、上質感漂うアルミ削り出しパーツの数々がディアベルの持つラグジュアリーな雰囲気をさらに引き立ててくれる。乗っているだけで優越感に浸れ、楽しい気分にさせてくれるカスタムだ。
ハンドル、シート、ステップの3点の位置関係が絶妙で、最初からこちらのライポジであるべきかも、と思えてしまうほどピタリと決まる。積極的に操るためのカスタムだ。
カスノモーターサイクルが運営するドゥカティ京都でも売れ筋モデルのディアベル。よりスポーティに走りを楽しむため、ライポジおよびドレスアップ系のカスタムが施されている。
『ライディングステップキット』ディアベルの持つダイナミックなパフォーマンスが楽しめるライポジを実現するため、ノーマルから 30mm バック/20mm アップ、38mm バック/26mm アップの2ポジションを設定。車体色に合わせたブラックアルマイトカラーが渋い。
『ライディングステップキット』のシフトペダル側。ペダルはちょうどいい位置にあって操作しやすく、マシニング加工で削り出された凹凸によってバーは滑りにくくなっている。クイックシフターは別売品。
『カーボンテーパーハンドルバー』アルミバーにカーボンを巻き付けたテーパー形状のハンドルバー。ノーマルハンドルに比べて 30mm 手前、10mm 下にセット。日本仕様のシート高に合わせた設定とすることで、自然なライポジに変更することができる。
『フロントマスタータンクキャップセット』アルミ削り出しのカバーはアルマイトを施した後に再び切削してロゴと模様が入れられる。しかもブレーキマスター用(右)とクラッチマスター用(左)で異なったデザインを採用するなど個性が際立つ。
『クラッチレリーズシリンダーEVO』クラッチピストンにカシマコート(硬質潤滑アルマイト)を施し、シール性と操作感をさらに高めた AELLA 定番のクラッチレリーズシリンダーの新型。クラッチ入力をノーマルと比較して約 25 %低減。
『ウォーターポンプカバープロテクター』3次元切削技術で1枚の板から削り出されたプロテクター。特殊形状により転倒の衝撃を全方位に逃がし、ウォーターポンプを保護。まさに機能とデザインの融合。
『イニシャルアジャスターノブ』ブラックアルマイト加工した後に再び切削してアルミ地を見せるというこだわりよう。ダイヤル径はノーマルよりひとまわり小さく回しやすい。クリックしたときの金属的な響きはアルミ削り出しならでは。
レッドアルマイト処理が施された削り出しパーツは、赤いフレームカラーとのマッチングもぴったり。機能パーツでありながらドレスアップ効果も抜群だ。
『フロントアクスルスライダー』シャフトにアルミを採用し、強度と軽さを両立。万が一の転倒では先端部のスライダーが衝撃を分散し、車体へのダメージを低減する。
『フロントキャリパーマウントチタンボルト』レースレギュレーションにも対応できるワイヤリング用穴を設定。ネジ部を必要最小限とすることで剛性を確保しつつ締結力を強化し、ブレーキフィールを向上。
『チタンナット&テーパーコーンセット』ディアベルの片持ち式スイングアームをアピールするチタン製アクスルナット。レッドアルマイト処理にブランドロゴが入ったテーパーコーンの鮮やかさが目に焼きつく。軽量化にも貢献。
デモ車に装着された機能パーツは
カスノオンラインショップで買える
1199 Panigale
ライポジ最適化とスムーズシフトで
操作性を一段とアップグレード
試乗したのは AELLA 製パーツが装着された 1199パニガーレS。といっても、エンジンや足まわりがチューニングされたものではなく、あくまでもストリートにフォーカスしたライトな仕様である。
ポイントは、ライディングステップとアルミハンドルなどのライポジ系パーツ。ステップバーの位置はノーマルと比べてやや高めの設定(30mm アップ)であることはすぐにわかるが、28mm も前進しているようには感じない。でも、これで正解。前進させたことでヒザの曲がりが抑えられ、違和感を感じないのだ。ステップを高く設定したのは「バンク角を稼ぐためというよりは、外足で踏ん張りやすくするため」だという。ハンドルもやや手前に引かれ絞られた位置にあり、全体的にひとまわりコンパクトなポジション。日本人の体格に合わせて考えられているのだ。
以前からひとつ大きく不満に思っていたのはステップが滑ること。ドゥカティが誇る最強のスーパースポーツなのに、ステップワークでずっこけるのは許しがたい。その点、AELLA のステップは踏み込んだときの剛性感やブーツの底の引っかかり具合が素晴らしい。ヒールプレートも分厚いアルミ削り出しで、ステップを踏み変える際の踵のホールド感もバッチリだし、ベアリングで支持されたペダルのスムーズでカッチリとした操作感に、「これこれ、ほしかったのは!」と思わずつぶやいてしまった。
クラッチの操作感もより軽くスムーズ。ノーマルも不満はないのだが、発進やUターン時など繊細なつながりがほしいときに差がつく。また、スポーツライディングでポンポンと立て続けにシフトダウンしたいときなど、軽いレバー操作とスムーズで確実なシフトタッチは大きな武器になるはずだ。
今回は紹介しきれないが、ディアベル同様にパニガーレにもドレスアップパーツは豊富に用意されているので、愛車を華やかに飾りたい向きにはそちらも合わせておすすめしたい。
ステップの位置と形状、マシニング加工による凹凸の感触が絶妙で、ステップワークをしたときにキッチリ踏ん張れるのがイイ! クラッチが軽くてつながりも良いので、より繊細なシフトワークが可能だ。
究極のスーパーバイク 1199パニガーレS をストリートでもより扱いやすく、日本人の体格にもフィットするよう、ライポジを中心にカスタマイズされている。
『ライディングステップキット』ノーマルから 30mm アップ/20mm 手前の位置を基準に6ポジションを設定、逆チェンジやクイックシフターにも対応なステップキット。ステンレスカラーやベアリングで支持される3ピース構造のペダルが、カッチリとした剛性感とスムーズなシフトタッチを実現。
『ライディングステップキット』のブレーキペダル側。バーとペダルのピッチは 130mm に設定され、わずかな足先の移動量で操作しやすい。必要な強度を保ちつつ極限まで肉抜きされた機能美が光る。MFJ レギュレーション対応なのでサーキット走行でも安心だ。
『アルミハンドルキット』幅が広く開き気味なノーマルハンドルに対して幅を 10mm 詰め、絞り角・垂れ角を見直すことで、よりコンパクトなライポジを実現する CNC アルミ削り出しによるハンドルキット。純正ステアリングダンパーとノーマルバーエンドにも対応している。
クランプ近くのバーの根元部分には、ブレンボ製レーシングラジアルマスターを装着可能なクリアランスを確保するなどアップグレードにも対応。
『クラッチレリーズシリンダー』パニガーレは他モデルに比べクラッチ操作は軽くなったが、スムーズな操作性を求めて開発されたニューバージョン。ピストン内部のアライメントボールや首振り防止ガイドの導入、ピストン自体にカシマコートを施すことで操作感を高めている。
『ラジエタープロテクターセット』パニガーレの2段式ラジエターを飛び石や虫の汚れから守るコアガード。強靭さと耐腐食性を誇る SUS316ステンレス材を使用し、ダメージを受けやすいセンター部は細かく、外側へ向かって粗くメッシュをデザインすることで保護性と冷却効率を両立。
機能美にあふれる AELLA のパーツは
1199パニガーレ用も豊富にラインナップ
万が一の転倒時にも安心
リペアパーツ供給体制
AELLA 製品の補修用パーツは原則として常時ストックしていて、ボルト1本、ワッシャー1枚からでもステップやハンドル、スライダーの構成部品のすべてをリペアパーツとして購入できる。ツーリングやサーキット走行を楽しみたいときも、予備のパーツとして持っていれば、万が一のアクシデントにも心強い限りだ。
道路を隔てた反対側には
国内最大級のドゥカティショールーム
カスノモーターサイクルが運営するドゥカティ京都は、関西初のドゥカティストアとして 2002年8月にグランドオープン。ガラス張りと白い壁面が美しい店舗には、国内最大級の広さを誇るショールームにドゥカティの全カテゴリーの最新モデルを常時 25 台前後展示するとともに、各カテゴリーの試乗車も用意。ドゥカティアパレルや、ドゥカティパフォーマンスをはじめとする各種カスタムパーツも豊富に取りそろえている。また、店内には糟野氏こだわりのオーディオシステムを設置したカフェもあるので、ドゥカティに囲まれてゆったりとした時間を過ごすのもいいだろう。ツーリングや走行会など顧客向けのイベントも積極的に企画している。
住所/京都市伏見区横大路朱雀11-5
定休/火曜
営業/10:00~19:00
Tel/075-611-1000
ウェブサイト