アエラ製のスペシャルパーツは、その美しい仕上げと共に追求されている優れた操作性が高い評価を得ている。ライディングポジションを変更するパーツは、日本人ライダーが使うことを前提として開発。多くのハイパフォーマンスマシンにフィットするパーツを、リリースし続けているのだ。
アエラの母体であるカスノモーターサイクルは、2016年で創業42年を迎える。これまで一貫してスポーツバイクの普及に力を入れてきたショップであり、代表の糟野雅治さんは、1960年代の後半からレーシングライダーとして、世界のモータースポーツシーンを知り抜いている人でもある。糟野氏は、自身が現役レーシングライダーだった頃から、ライディングポジションに対する考え方が動的。つまり実際に走行し、加速や減速のしやすさやコーナリング時の体のホールド性等を追求してきた。アエラの製品は、だからこそ高品質でポジションの自由度が大きいパーツとして開発されているのである。転倒時のパーツ破損に対しても、細かく部品単体で市場に投入し、優れた耐久性と共に、リペアが容易であるというメリットも大きな評価としてスポーツライダーに浸透している。そのアエラが、昨年デビューしたドカティの新ブランド。「スクランブラー」に対応するパーツを続々と発売している。今回は、アエラ事業部の糟野仁海さんと中島亮介さんに、現在のアエラについて、話をうかがった。
――今までアエラの主流だったのは、ハイパフォーマンスを追求することだと思いますが、新製品にはどのような特徴がありますか?
糟野 :基本的にはパーツ製作におけるコンセプトは変わることがありません。やはり、外国製バイクのポジションは日本人のライディングに適していない部分が多いので、細かく調整するという意味合いが大きいです。
中島 :スクランブラーは、とても汎用性の大きいバイクとしてドカティの新しい分野を切り開きました。もちろんこれまでもスポーツ性を抑えたロードモデルはありましたが、ぐっと身近な存在として注目されているモデルなので、なおさら日本人ライダーへのフィッティングを考えたということです。
――ステップ以外にも様々なパーツを提供していますね。
糟野 :実は、ステップももちろん開発しましたが、ステップ位置はノーマルと同じなんですよ。変更しなくても良いものは変更しない。しかし、ノーマルの質感やペダルの操作フィーリングは向上させたいので、高級で剛性感の高いパーツとしてラインナップしました。そして、ハンドルバーは2種類用意しています。
――ハンドルの形状でポジションの見直しを図るのでしょうか?
中島 :今回はスクランブラークラシックをモチーフとしていますが、そのままだとアップライトで乗りやすそうなんですよ。でも走行中は、いわゆる殿様乗りポジションでは、加速のGやブレーキングGに対応しにくい。降りた時の取り回しもアップすぎるハンドルバーでは不具合がありますね。それで少し幅を狭く、低いポジションで製作しました。グリップエンドも少し内側に向けて絞られています。
――他にも様々なパーツを提供していますが、その背景は?
糟野 :スクランブラーは、街乗り用のトラディショナルバイクということから、ライディングポジションに関するパーツ以外にも、転倒時に車体ダメージを最小限に食い止めるスライダーや、便利グッズでもあるナビゲーションマウントステーなどもラインナップしました。これはユーザーからのリクエストに答えてリリースしたパーツでもあります。そして最新の400には、サイドスタンドに装着させるアルミ削り出しのサイドスタンドエンドを発売します。あまりに大きく傾いてしまう車体を緩和させる重要なパーツですね。
――主力商品のステップには、どのような工夫がありますか?
糟野 :固定ステップと可倒ステップの両方を製作しました。ライディングを安定させるには固定ステップが良いということは他の商品と共通で、ステップ自体は、少し軟らかいアルミ素材を使用して転倒時に折れにくいような配慮がなされています。可倒ステップは、オフロード走行時などの転倒で有利なように、ノーマルステップの良さも加味した設計になっています。
ドカティの中でも一際懐の深いポジションにあるスクランブラー。メーカーは「ポストヘリテイジ」という表現を使い、自由な発想で自己表現できる新しいスタンダードとして今急速にライダーを増やしているが、アエラのパーツを使用することで、さらに楽しいバイクライフを表現できるようになる。それはやはり、どの製品もいっさい妥協しないモノ作りを徹底しているからだ。日本人ライダーの為のスペシャルパーツ。そのクオリティと優れた操作性は、スクランブラーのライディングでも魅力的なアドバンテージを築いていた。
街乗りでの操作性を重視したスクランブラー用パーツは、ステップは高剛性なことが前提であるものの、細かいポジション変更はできない構造。その理由は、「設定の必要がない」ということ。ハンドルバーでの調整で、街乗りでも操作性の良いポジションを実現できるというのがアエラの答えである。対してスーパーバイク用は、徹底的にライディングポジションを微調整できる構造であり、スポーツライディングからサーキット走行までの操作フィーリングも、ライダーが徹底的に追求できるものとなっている。