タイトルを奪い返せ!6年目のシーズンに挑むドゥカティ(前編)
- 掲載日/2009年03月25日【特集記事&最新情報】
- 写真/MotoGP Official Website
タイトル奪還
それがドゥカティの至上命題
昨年の9月28日、ツインリンクもてぎで行われたMotoGP第15戦日本GP。シーズンを通して圧倒的な速さと安定感を発揮した宿敵フィアット・ヤマハとバレンティーノ・ロッシが、我々の目の前でドゥカティ・マールボロとケーシー・ストーナーのタイトルを奪い去った一戦…。あれから半年が過ぎ、来る4月12日に決勝レースが行われるカタールGPを皮切りに、いよいよドゥカティのMotoGP参戦6年目のシーズンが開幕しようとしている。果して、今シーズンのドゥカティはタイトルを奪還できるのか。今回の特集では、チャンピオンシップの行方を占う上で非常に重要な、ドゥカティ・チームのプレシーズンの活動を振り返ってみることにしよう。
2008年9月
ニッキー・ヘイデン
ドゥカティに電撃移籍
ドゥカティのタイトル奪還に向けた動きは、昨年の9月15日のビッグニュースから始まった。9月の15日と言えば、ロッシがタイトルを決めた日本GPよりも半月ほど前だが、なんと、レプソル・ホンダのトップライダー、ニッキー・ヘイデンが、ドゥカティ・マールボロに移籍することが、両チームから正式に発表されたのだ。
ニッキー・ヘイデンは、AMA全米スーパーバイク選手権チャンピオンとしての実績を手土産に、2003年にホンダ・ファクトリーチームに抜擢された逸材。同年にMotoGPの新人王を獲得すると、990ccマシン最後のシーズンとなった2006年にはバレンティー・ロッシを相手に激しいランキング争いを繰り広げ、最終戦バレンシアGPで大逆転。同年のMotoGPクラスのチャンピオンシップ獲得に成功したトップライダーの1人である。
ドゥカティのプロジェクトリーダーであるリビオ・スッポは、「ニッキーがバレンシアGP終了後、すぐに我々のバイクをテストする許可を与えてくれたHRCに感謝する。彼の走りが早く見たい。アグレッシブなライディングスタイルは、ドゥカティにきっと適合するはずだ」と語り、ヘイデンの加入を大歓迎。こうしてドゥカティ・マールボロのタイトル奪還への動きが始まったのである。
2008年10月
GP9に素早く対応したヘイデン
「初テストは思っていた通りだった」
10月26日の最終戦バレンシアGPを最後にホンダから離れたヘイデンは、翌27日からドゥカティチームに合流。早速デスモセディチGP9の初テストに臨んだ。最終戦の舞台リカルド・トルモで行われたMotoG合同テストの初日、好コンディションのもとヘイデンはついにドゥカティでのデビューを果した。白いレーシングスーツに身を包み、最初のコースインではデスモセディチGP8をテスト。その後、星条旗カラーにスペシャルペイントされたデスモセディチGP9に乗り込むと、79ラップを走りこみベストタイムは1分33秒960を記録。ホンダ・ワークスマシンRC212VからドゥカティのGP9へ、ミシュランタイヤからブリヂストンタイヤへのスイッチに果敢にチャレンジしたのだった。
ヘイデンは、「ハードな仕事が山のようにあるのは分かっているが、自分はその準備ができている。バイク、チーム、全てがすごく快適だった。試すこと、理解することがたくさんあり、すごく激しい1日だったけど、全て思っていた通りだった」と、セッション終了後に感想を語った。
ドゥカティチーム
5台体制でスタート
ヘイデンの獲得と平行して、2009年のMotoGP参戦体制が確立されようとしていた。6年目のシーズンに向けて、ドゥカティはデスモセディチ5台を投入することを決定。
ファクトリーチーム、ドゥカティ・マールボロは、2007年王者ケーシー・ストーナーのチームメイトに、2006年王者ニッキー・ヘイデンを起用するという磐石の体制。サテライトチームのプラマック・レーシングは、250ccクラス・ランキング3位の実績とともにステップアップしたミカ・カリオと、テストライダーを務めていたニッコロ・カネパという布陣だ。そして、2006年にドゥカティ・ファクトリーチームから参戦していた経歴を持つベテランライダー、セテ・ジベルナウが新規参戦チーム、オンデ2000から復帰するということも決定。5人のライダーたちは、昨シーズン最終戦の舞台、リカルド・トルモで走り込みを開始したのだった。
ストーナーは左手首を再手術
2月からの完全復帰を目指す
タイトル奪還に向けて万全の体制を敷いたドゥカティにとって、唯一の不安材料と言えば第13戦サンマリノGPで再骨折したケーシー・ストーナーの左手首だけだった。そのため、ストーナーは年内最後のテストをキャンセルし、バレンシア合同テスト後の10月30日にイタリア・モデナ市内の大学病院で手術を受けた。その後、年内最後のMotoGP合同テストが行われたヘレス・サーキットに姿を見せたストーナーは、「回復状況は順調だと医師から説明された。新しいプロテクターを着用して、自転車トレーニングを少しずつ始める。これはポジティブなことだ」と、術後の経過を語った。そして、「ニッキーと僕は、コンディションの異なるバレンシアで2日のテストをこなしてタイムも良かった。これは、既にバイクが仕上がっていることの証だ」と語り、タイトル奪還への自信をうかがわせたのだった。
以上が、昨年の9月から年末にかけてのプレシーズンの主な動きだ。ニッキー・ヘイデンの早期獲得や、痛みを訴えながらも果敢にテストにチャレンジするストーナーの姿から、タイトル奪還に向けてドゥカティが本気モードであることが伝わってくる。後編では、今年の1月から開幕直前までの様子をお伝えしよう。
MotoGPってナニ?(その1)
MotoGPとは、世界15ヶ国で開催される最も重要なモーターサイクルレースのこと。世界を代表する二輪メーカー、ホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ、アプリリア、KTM、ロンシン、マクストラなどがレース用に開発したバイクで参戦。世界中からトップレベルのライダーたちが集結し、エキサイティングで魅力に満ちたレースが展開される。 1949年、モーターサイクルスポーツの管理、普及、振興を図るFIM国際モーターサイクリズム連盟が、世界選手権を初開催。ドルナ・スポーツ社は、1992年から、FIM指導の下、同選手権の運営を支援している。
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