タイトルを奪い返せ!6年目のシーズンに挑むドゥカティ(後編)
- 掲載日/2009年03月26日【特集記事&最新情報】
- 写真/MotoGP Official Website
タイトル奪還に挑む戦い
前半戦のポイントは日本GPだ!
4月12日に決勝が行われるカタールGPを皮切りに、ドゥカティがタイトル奪還に挑む2009年シーズンが開幕しようとしている。カタールGPはMotoGP唯一のナイトレースということもあり、各チームともシーズンを見据えた前哨戦としての意味合いが大きい。しかし、MotoGPのレースカレンダーをみると、第2戦はツインリンクもでぎで行われる日本GP。日本のバイクメーカーのお膝元ということもあり、シーズン序盤でもっとも重要な一戦となることは間違いない。果して、ドゥカティは日本GPでどのような戦いぶりを披露してくれるのか、そして2008年に奪われたタイトルは奪還できるのか。今回の特集では、タイトルの行方を占う上で非常に重要な、ドゥカティの年初から現在までの活動を振り返ってみることにしよう。
2009年1月
「自分自身の力を信じている」
ヘイデンの力強い宣言で年明け
1月13日、チーム発表会に出席したニッキー・ヘイデンの、「自分自身の力を信じる」という力強い宣言でドゥカティは新年を迎えた。
イタリアのスキーリゾート地、マドンナ・ディ・カンピリオで開催されたドゥカティ・マールボロのチーム発表会。初めてチームウェアーを着用したヘイデンは、「日曜日の写真撮影で、初めてドゥカティのレーシングスーツに袖を通した。大きな誇りを感じた」と語った。また、チームメイトとなるケーシー・ストーナーについては、「彼と一緒に働くことが嬉しい。数年前から知っているし、2人ともスタートはダート。僕たちのバックグランドは似ているし、お互い戦闘力がある。競い合うけど、強力なチームを作り上げるために、一緒に働くつもりだ」と、2人の関係を説明。そして、2009年の目標に話しが及ぶと、「自分自身の力を信じている。初期の目標は2006年の戦闘力を取り戻すこと。安定して表彰台に登り、そして、勝つことだ」と語った。
昨年のプレシーズンから精力的にテストに臨み、誰よりも多くの周回を重ねてきたヘイデン。自信がうかがえるこの発言には明確な根拠があるのだ。
左手の回復は順調
精神的にも成長したストーナー
チームメイトのヘイデンとともに、1月13日のチーム発表会に臨んだストーナー。10月末に第13戦サンマリノGPで再骨折した左手の手術を受け、ウインターブレークを利用してリハビリに取り組んできた。「骨が固まったことは、本当に良かった。テストに向けて、筋力をもう少し回復するため、手と前腕のトレーニングが始められる」と語り、順調な回復をアピール。そして、ディフェンディング・チャンピオンとしてタイトル防衛に臨んだ昨シーズンに関しては、「まだやるべきことがあるのにそれに気づかず、自信過剰な状態でスタートしたかもしれない。序盤は浮き沈みがあり、それを乗り越えなければいけなかった」と語り、自身を冷静に分析する精神的な成長もうかがわせた。
2009年2月
注目のセパン合同テスト
順調なストーナーと試練のヘイデン
2月5日に行われたMotoGPのセパン合同テストには、2月の復帰を目標としていたケーシー・ストーナーとニッキー・ヘイデンが揃って参加。役者が揃い、いよいよタイトル奪還に向けての活動が本格化した。
ドゥカティレッドのレーシングスーツに身を包んだヘイデンは、意欲的な走り込みを開始。昨年10月末に手術を受けたストーナーはテスト初日に痛みを訴えるなど、やや不安な滑り出しとなった。しかし、10月末のバレンシア合同テスト以来14週間ぶりにデスモセディッチGP9をテストしたストーナーは、初タイトルを獲得した2007年に樹立したサーキットレコードラップ(2分02秒108)を0.073秒上回る2番手のタイムを記録するなど、決め所での速さは健在。その勢いでテスト3日目も2分02秒台を突破すると、最終ラップには非公式ながらサーキットレコードラップ(2分02秒108)を1.065秒更新する2分01秒043を叩き出した。ライバル、ロッシのタイムは2分01秒137。新しいマシンとタイヤのシミュレーションに専念したヘイデンは、2分02秒497で10番手タイムに終わった。
ドゥカティのプロジェクトリーダー
ストーナーの再手術説を否定
マシン開発とテストが激しさを増していた2月24日、ドゥカティのプロジェクトリーダー、リビオ・スッポは、噂されていたケーシー・ストーナーの左手再手術の可能性を否定した。タイトル奪回を目指すストーナーは、昨年10月末に再骨折した左手を手術。2月上旬のセパン合同テストでは、一番時計を記録したものの、痛みを訴えてロングランを控えるという状況に陥っていたのだ。
スッポは、「誰も再手術について話題にしていない。医師は手術が成功したと説明している。今後、手の動き増すために、リハビリに取り組まなければならないが」と状況を説明。また、「彼の左手にはハードトレーニングが必要だ。簡単なことではないが、困難にチャレンジする性格の持ち主だから大丈夫。カタールで様子を見なければならないが、幸いセパンよりもフィジカル的に楽なコースだ」と語り、順調に回復しているものの、完全復活まで至っていない状況を明かした。
2009年3月
ドゥカティ・マールボロ
両雄トップ5入りで反撃の狼煙
ドゥカティ・マールボロは、3月1日からのカタール合同テストに参加。初日、ヘイデンは31ラップを走り込み、新しい電子制御とスイングアームをテストして一番時計を記録したが、ケーシー・ストーナーは、リスクを回避して走行をキャンセルしてしてしまった。しかし、テスト最終日には、ドゥカティ・マールボロの両雄がコースイン。1番手と5番手に進出する大躍進を遂げたのである。
プロジェクトリーダーのリビオ・スッポはテスト2日目の終了後、「とにかく、ストーナーはバイクの仕上がりを喜んでくれた。コースコンディションが完璧ではなかったが、周回を重ね、最後のコースインでテストした新開発のスイングアームに満足してくれたようだ」と語り、ストーナーの回復とマシン開発が順調に進んでいることをアピール。また、「我々はニッキーに大変満足している。コースコンディションが悪化し、気温が低下したセッション終了10分前にベストタイムをマークした。彼はGP9に乗り込む度に良くなっている。ケーシーにとって、完璧なチームメイトだ」と語り、チーム体制がより良い方向に向かっていることを説明した。カタール合同テストのタイムは以下の通りだ。
ケーシー・ストーナー
- 1日目:走行をキャンセル
- 2日目:1分57秒139(37ラップ)
- 3日目:1分55秒744(31ラップ)
ニッキー・ヘイデン
- 1日目:2分00秒717(31ラップ)
- 2日目:1分58秒577(54ラップ)
- 3日目:1分57秒225(53ラップ)
そして、2009年4月26日…
ランディ・マモラが分析
タイトルの行方を占う日本GP
以上が、今年になってからのプレシーズンの主な動きだ。最後に、元WGP500ccクラスのライダー、ランディ・マモラ氏の分析をご紹介しておこう。
「ストーナーは、手術を受けて、コンディションが良くなっているようだ。カタールではとても良く、1度の周回数を伸ばし始めた。現状、ストーナーとロッシがトップ2を占めていることは驚くには値しない。タイトルの行方を占う試金石は第2戦(日本GP)だ。レギュレーションの変更により、セッティングのための時間は3回の45分間セッションとなった。テストのように5~6時間もかけられないのだ。チャンピオンシップで最も強力なライダーは、ストーナーとロッシだが、私はセッティングの早さからケーシーが有利だとみている」
そう、4月26日にツインリンクもてぎで決勝レースが行われる日本GPは、今シーズンを占う重要な一戦なのだ。さあ、ドカティストはツインリンクもてぎでドゥカティを応援しよう!
MotoGPってナニ?(その2)
世界最高峰の舞台MotoGPで使用されるバイクは、プロトタイプマシン。市販車や公道で走るバイクではなく、最高のパフォーマンスと勝利を追求し、レースのために特別に開発されたマシンで競われる。 2002年のテクニカルレギュレーション変更により、最高峰クラスは500ccの2ストロークマシンから最大排気量990cc以下の4ストロークエンジンを搭載したマシンの投入が許可され、従来の500ccクラスからMotoGPクラスへと名称を変更した。そして、2007年から排気量800cc以下に規則が変更された。
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