ドゥカティは、どのモデルも美しいスタイリングをまとった、極上のスポーツバイクであることは周知の事実だ。手なずけるにはそれ相応のスキルを要し、だからこそ昔からハードコアなスポーツライダーの憧れでもあった。一方で、その高いスポーツ性能は諸刃の剣でもあることも確か。昨今のモデルが備えるパフォーマンスは、公道で使いきれるライダーはまずいないだろう。
「ドゥカティそのものの価値観は昔も今も変わらないと思うのです。しかし、大型二輪免許が教習所で手に入れることができる今は、以前とは違いスポーツ性能を求めずしてオーナーになっている方も多くなってきました。そもそも非常に高いポテンシャルなので、レーシングスペックに近づけるパーツへ目を向けるオーナーが減ったとも言えるでしょう。ドゥカティを購入してから、バイクに乗るうえで必要なスキルについて、あらためて考えるようになったライダーの声も少なからず耳に入ってきます」
若き頃からバイクや自動車関係の仕事に従事し、なおかつコンシューマと近い距離で接してきたアフターパーツブランド『ヴォーグ』を手がけるウィラボの代表 上田氏。全国のドゥカティショップを巡り蓄積された情報やデータは業界屈指と言えるだけに、その言葉の説得力がある。
「そして立ち上げたのが『ヴォーグ』というブランドです。これはドゥカティライフを安全に楽しく送っていただけるためのパーツブランドなのです。たとえばここ数年で認知されてきたフレームおよびアクスルスライダーは、転倒時の衝撃を滑らせて分散し、ボディやフロントフォークボトムなどへのダメージを軽減するのが目的です」
当然のことだが、タイヤがふたつしかないバイクは“絶対に転ばない”とは言い切れない。最近では、サーキットでの走行を楽しむライダーたちも、こうしたスライダー類を装着するなど、認知度は広がりつつある。また何が落ちているか分からない一般道を走るうえで、フロントタイヤが巻き上げる石などからラジエターやオイルクーラーのコアを守ってくれるコアガードも重要なパーツである。さまざまなバイクライフで遭遇するシチュエーションを想定し、大切な愛車を守ることを前提に、ヴォーグの商品は開発されているのだ。
「そしてヴォーグのパーツは機能とデザインにこだわりました。メッキエンブレムやメッキリングなどを採用し、さりげない主張をさせているほか、ディアベルやパニガーレのスライダーは車両の特徴に合わせたデザインとしています。ラジエターガードにしてもタイヤが跳ね上げた物が一番当たる下部層の網目を細かくし、冷却効果を損ねないように上部へ向かうにつれ網目が粗くなっています。私はヴォーグパーツを装備してもらうことで、オーナーに満足感を得て欲しいのです。ドゥカティを購入するようなライダーは特に目が高い。だからこそしっかりとしたパーツを提供しなければ、すぐにその商品価値を見破られてしまいます。そのために日夜研究を重ねて生み出しています」
ドゥカティだけでなくバイクはリスクを伴う乗り物だ。そのリスクを回避しつつ、スタイリッシュに楽しむパーツをヴォーグは作り続けている。
| ウィラボ 代表 Hiroaki Ueda 元々メカニック出身で、世界的に有名な4輪ホイールメーカーやドゥカティパーツのサードパーティなど、四半世紀にわたって従事してきた代表の上田氏。これまでに養ってきた“モノを見る目”と、リサーチし続けてきた“求められているモノ”を具現化したブランド、『ヴォーグ』。続々とニューパーツが導入されており目が離せないブランドだ。 |
細部までこだわった作りこみに、ファンも多いヴォーグのスライダー。今回ご紹介するドゥカティ用のものを中心に、国内外さまざまなバイク用が用意されている。スライダーをはじめどの商品も、パッケージデザインまで一貫したプレミアムクオリティでまとめられている。
| 車種別パーツを数えると、100種類近くのラインナップがあるヴォーグ。在庫管理も徹底しており、急なオーダーにも即対応できる体制だ。ラボでは新商品の開発も日夜行われており、オフレコなのだが今後はツーリングギア系の商品も控えている。 |
新商品のヴォーグパーツを纏った 1199 パニガーレ。装着しているのはフロントおよびリアのアクスルスライダー、ステップバーキット、そしてラジエターコアガードだ。
路面に散らばる小石などが、走行中のフロントタイヤの巻上げによってラジエターが損傷することを防ぐコアガード。美しい幾何学模様のグラデーションパターンで、スタイリングを引き締めるポイントとなる上、不純物の跳ね上げが多く当たる下層部の編み目は密に、そしてフレッシュエアの流入を妨げないよう上部に向かい徐々に粗くなっていく。まさに機能美を具現化したような逸品だ。
フロントフォークのボトム部分をカバーするアクスルスライダーを良く見ると、1199 パニガーレのスポーティなイメージを高める赤いカラーリングがポイントとして採用され、外周から中心部分に向かいスラントさせたことで、フロントカウルの形状とのバランスを図った。細かい部分だが、こういった拘りが品質の高さを物語る一面であり所有欲を満たすことに繋がっている。
純正のステップバーと交換するだけの簡単な施工で装着できるステップバーキットは、12段階のポジションからセッティングすることができる。アルミを削りだすことによって生まれるバー部分の凹凸が絶妙な仕上がりで、ライディングシューズの底をしっかりとホールドし、それによって車体コントロールのしやすさは格段に向上する。
ヴォーグは他にも広角ミラーやスプロケット、クラッチレリーズ、クロモリ製アクスルシャフトなども手がけている。ヴォーグというブランドが考えるバイクのパーツは、ただ単に速さを追求するものではなく、装着したことによって、視覚的に訴えたりライディングを楽しくさせたりするものなのだ。今後も数々の新製品が控えており、それらがドゥカティライフを一層充実させ、楽しいものにしてくれることだろう。
社名/ウィラボ
住所/大阪府箕面市萱野4-9-18-B
Tel/072-734-7699
Fax/072-734-7736
営業時間/10:00~19:00
定休日/日曜・祝祭日
ウェブサイト/http://www.vorgue.com/
Front Axle Slider
専用デザインのパニガーレ用スライダー。ボディは摩擦係数の低いジュラコン製。シャフトにはジュラルミンを採用し、腐食防止のためにブラックアルマイトが施される。
価格(税込)/9,240円
カラー/ブラック
対応車種/1199 パニガーレ 全般、ディアベル 全般
Core Guard set
下から放射線状の網目となり、見る方向によって印象が変わる製品。機能面においても良く考えられている。
価格(税込)/44,100円
カラー/スーパーブラック
対応車種/1199 パニガーレ 全般
12 Position Step Bar kit type A
靴底をしっかり捉えるステップバー。12ヶ所からポジションを選べる点にも注目したい。バイクを軽快に操れるだろう。
価格(税込)/21,000円
カラー/ブラック、シルバー
対応車種/1199 パニガーレ、1198/1098/848、999/749、998/996/916/748、モンスター S4RS/S4R/S2R1000/S2R、ストリートファイターシリーズ 全般、スーパースポーツ系 1000/900/800/750、SPORT1000、ポールスマート 1000LE、ムルティストラーダ 1000/1000S/1100S、MH900e