スポーツツーリングST2 DUCATI購入ガイド

Sporttouring ST2

ドゥカティの軽快さとツアラーの安定感が好バランス
価格もリーズナブルなスポーツツアラー

1997年からドゥカティのラインナップに加わった、スポーツツーリングシリーズ。ST2はシリーズ最初の1台であり、ST4が発売された後はエントリー向けとしてラインナップされていたモデルだ。ST2は1990年前半まで販売されていたPASOシリーズの後継とも言えるスポーツツアラーで、同シリーズの最終モデルである907I.E.同様に900SSの空油冷エンジンをベースとした水冷2バルブエンジンを搭載している。ただ、スタイルは大きく異なっており、タンブリーニによる個性的なフルカバードボディから、ドゥカティらしいトレリスフレームが見える仕様へと変更。もちろん、フレームは新開発のものとなる。

ハンドリングの味付けはいかにもドゥカティらしい軽快さを持たせつつ、ツアラーとしての直進安定性を両立した味わい深いものとなっている。タンデムでのライディングを考えたセッティング幅の広いサスペンションや、フルフェイスヘルメットが入るパニアケースが標準装備されているなど、各部もツーリングモデルに相応しい作り込みがなされているのもST2の魅力。また、価格設定がリーズナブルになっているのもセールスポイントで、ケース付きで100万円を切っており、国産モデルと比較しても割高感を感じさせない。絶対的な走行性能では後に発売されたST4などには敵わないが、適度なパワーでバランスを保っているST2はツアラーとして高い完成度を誇っている。

PASOシリーズを受け継ぐ水冷2バルブエンジンを搭載。最高出力は83ps/8,500rpm。

メーターはSTシリーズで共通となる液晶パネル付きのもの。液晶部分には燃料計や時計が表示される。

標準装備のパニアケースはフルフェイスヘルメットが入る大容量タイプ。脱着も用意に行える。

PASOシリーズ以来となるセンタースタンドを装備。荷物の積み降ろしや不整地の駐車などで役立つ。

ツーリング向け装備が充実
価格帯もリーズナブル

ST2はスポーツツーリングシリーズの第一弾として登場したモデルだけあって、ツーリング向け装備が充実している。パニアケースのほか、タンデムライドを考慮した肉厚のシート、後方視界を広げる2フォーカスバックミラー、PASOシリーズ以来となるセンタースタンドなどを装備。それでいて価格はリーズナブルに設定されており、2002年式だと消費税別で99万円と非常に安価だった。一般的に社外品のパニアケースを装着すると、左右で10万円近くする場合もある。そのことを考えると、ST2の定価設定はバーゲンプライスだ。

中古車市場でのST2は、元々安価であったために安値で安定している傾向となっている。車両によっては40万円前後から手に入ることもあり、ドゥカティでツーリングを楽しみたいライダーにとっては有力候補になるはずだ。また、車両の特性上激しいスポーツ走行やカスタムにさらされた車両が少なく、低年式でも状態の良い在庫が多いのもうれしいポイントだ。水冷エンジンほど速過ぎず、それでいてドゥカティらしさをしっかりと味わえるツーリングマシンとして、ST2は面白い選択肢と言えるだろう。