ドゥカティ 250 デスモ・ファクトリー
- 掲載日/2009年10月16日【歴史あるドゥカティを知る】
- 構成/VIRGIN DUCATI.com 編集部
ドゥカティ最後のファクトリーレーサーは
市販車ベースのデスモドロミック
60年代の半ばになるとサーキットの主役は2サイクルのマシンに変わり、ドゥカティも表立ったレース活動は行っていなかった。しかし1967年の春に、ある理由をもって再びサーキットに現れた。それはまもなく発売されるであろう、デスモエンジンの開発を兼ねてである。翌年の4月にデスモ市販車が発表されたが、実際にデリバリーが開始されたのは翌年から。デスモの販売を慎重に考えていたタリオーニは、1年掛けて完全なものに仕上げたかったのだ。
シートレールが上を向いている以外は、基本的に市販モデルと同じ形状をしているフレーム。ただし、スイングアームピボットの上には、曲がった補強パイプが付けられていない。
その開発を堪能したのがドゥカティのエースライダーを務めるブルーノ・スパッジアーリ。最初に走ったレースでは、フィル・リードのヤマハとアゴスティーニのMVアグスタに続く3位でゴールを決め、デスモの性能を改めて世間に知らしめたのだった。その後も積極的にレースに参加して、問題点を見つけてはフィードバックしていった。ときには高回転で回し続けるとロッカーアームが破損することも確認できた。
レースに勝つことは最重要課題であるが、それだけではない役割がこのデスモレーサーには与えられていたのだ。スパッジアーリやスタッフの努力によって、今日までドゥカティの中にデスモが生き続けているのである。
250 デスモ・ファクトリーの詳細写真
250ccの最高出力は35ps/11500rpm、350ccが41ps/10500rpmであった。これは好敵手であったアエルマッキと比べ対等な数字ではあるが、実際には250ワークスアエルマッキにはスピードでは敵わなかった。逆に350ではドゥカティのパワーの方が若干上回っていた。
キャブレターは存在感のあるデロルトSSI36Bが装着される。350ccは40mmである。
16000rpmまえのベリア製タコメーター。その側面にはSPAGGIARIと刻まれている。
市販モデルには採用されなかった乾式クラッチ。操作性の向上や、油温の上昇が抑えられるなどメリットは大きいが、長いレース活動でドゥカティが自社のレーサーに乾式クラッチを採用したのは初めてだった。
多くのワークスデスモには、前後ともにオルダーニ製マグネシウムブレーキが装着されるが、このリアブレーキはオールアルミのグリメカ製。
35mmマルゾッキフォークはシルバーショットガン以降の市販モデルにも装着されているが、トップブリッジ共々形状は異なっている。ステムナットの先端についている丸棒の切れ端を汚いなんて言う無かれ。これだって立派なワークスパーツなのだから。
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