ドゥカティ 1971 500 グランプリ
- 掲載日/2009年11月05日【歴史あるドゥカティを知る】
- 構成/VIRGIN DUCATI.com 編集部

750ツインと同時開発された
軽量コンパクトなGP500レーサー
750ccツインの開発で好感触を得ていたドゥカティは、同形式の500ccエンジンを同時進行で開発していた。その500ccエンジンは、世界GP500クラスにエントリーするためのもので、形式こそ750ccエンジンと同じV型2気筒だったが、すべてにおいて徹底した軽量コンパクト設計が成されていた。71年シーズンの途中に完成したマシンは、S・ロッカやP・ジーベルトのライディングによって、5月末のユーゴスラビアGPに出場。結果は散々だったが、感触を得ることができた。そして幸運の1972年。イモラ200マイルレースが終わった直後に、同じくイモラサーキットで開催されたイタリアGPでは、同じイモラを走って世界中のドゥカティストを換気させたあの2人が登場した。王者MVを相手に、ポール・スマートとブルーノ・スパッジアリは大健闘したが、結果的にはスパッジアリが3位でスマートは4位だった。この72年のイタリアGPでの活躍が、ドゥカティ500GPが一番輝いていたと当時を知るレースファンは語っている。

リアブレーキ回りに関しても、同年代のイモラレーサーと同一である。
ここに紹介する500GPは、当時数台製作されたうちの1台で、イタリア在住のファクトリーマシン・コレクターが所有するものである。イタリア本国のドゥカティ・マニアの間では、現存する500GPは2台と言われ、その1台がボローニャ本社のミュージアムに展示され、残る1台がここに紹介するマシンだと言われている。ミュージアムに展示されているマシンは、すでにフルレストアが施されているが、このマシンは当時の様子を物語る姿のままで保管されている。それでも、数年前のドゥカティクラブミーティングでは、このマシンに火が入り、現場に居合わせた参加者を大いに喜ばせたそうだ。この500GPは、世界GPで勝つために開発されたマシンがゆえ、実際に参戦した数年間のあいだで、いくつもの仕様が存在する。大きな違いはシリンダーヘッドの仕様にあり、初期のモデルは2バルブのバルブスプリング仕様で、その後はデスモドロミックを採用。そして、最終的にはバルブスプリングで4バルブ仕様になった。
ここに紹介するマシンは、その初期に開発されたもので、シリンダーヘッドはバルブスプリング仕様の2バルブ。ガソリンタンクも750イモラと同デザインながら、ひと回り小さなものが取り付けられている。後期の500GPでは、ガソリンタンク形状が変わり、よりコンパクトでニーグリップ部分は鋭くえぐられ、タンク全体が角ばった感じとなっているのが特徴だ。この500GPは、当時マイク・ヘイルウッドによってもテストされたが、彼が実際に参戦した記録は残っていない。好成績を収められなかったことから、人々の心に残るマシンではないが、それでもこのマシンには、技術者の魂を感じずにはいられない。
1971 500 グランプリの詳細写真









1971 500 グランプリのスペック
- 総排気量
- 496.92cc
- ボア×ストローク
- 74×57.8mm
- 圧縮比
- 10.8対1
- 最高出力
- 72hp/11,500rpm
- 始動方式
- 押し掛け
- 点火方式
- バッテリー
- クラッチ形式
- 湿式多板
- 変速機形式
- 5速リターン
- キャブレター形式
- デロルトPHF40
- 乾燥重量
- 140kg
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