VIRGIN DUCATI | ドゥカティ ハイパーモタード1100EVO 試乗インプレッション

ハイパーモタード1100EVOの画像
DUCATI Hypermotard 1100 EVO

ドゥカティ ハイパーモタード1100EVO

  • 掲載日/2010年04月13日【試乗インプレッション】
  • 取材協力/Ducati Japan  構成/VIRGIN DUCATI.com 編集部

ニューエンジン搭載で進化を遂げた
新たなるハイパーモタード

2005年のミラノショーでデビューしたハイパモタードシリーズは、今やすっかりドゥカティのラインナップとして定着した感がある。先日は弟分となるハイパーモタード796が日本市場に初上陸を果たしたが、今回はメインモデルとも言えるハイパーモタード1100がバージョンアップを敢行。新型エンジンを搭載し、「ハイパーモタード1100EVO」として生まれ変わった。モデルチェンジ最大のトピックスは、やはりエンジン。前モデルはツインスパークの「1100DSエンジン」に代わって採用された「デスモドゥエ・エボルツィオーネ」は再びシングルスパークへと回帰したが、最高出力・最大トルクともに向上し、ハイパーモタードのエキサイティングな性能に寄与している。また、フレームや足回りなどもリファインされており、スタイルこそ先代を踏襲しつつも中身は車名通りの進歩遂げていることは疑いようが無い。今回の試乗車両はまだ慣らしが完了していなかったため、高回転域でのパフォーマンスは確かめられなかったが、そんな状態でもハイパーモタード1100EVOの実力は侮れないものを秘めていた。

ハイパーモタード1100EVOの特徴

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鋭いスタイルはそのままに
進化するパフォーマンス

今回のモデルチェンジにおける最大の注目ポイントは、新型エンジン「デスモドゥエ・エボルツィオーネ」の搭載だ。ボアとストロークは従来の98×71.5mmのままとなっているが、ツインスパークからシングルスパークへの変更、スーパーバイクにも用いられるヴァキュラルダイキャスト製法による軽量な新型クランクケースの採用、新型のマグネシウムオルタネーターカバー、レアアースマグネットによるジェネレーターユニットの軽量化がその特徴となっている。その結果、エンジン単体で5.2kgの軽量化を実現しただけでなく、最大出力が5馬力アップの95HP(69.9kw)/7,500rpmとなっており、格段にパフォーマンスが向上した。試乗インプレッションでも触れた通り、低速~中速でのドライバビリティの高さは、DSエンジンを上回っている。

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車体関連の変更点も多く、ハイパーモタード1100EVOではフレームレイアウトの改良と重量のある鍛造部品の変更により軽量化と剛性確保を両立している。また、フロントサスペンションのフォーク径は同じだが、マルゾッキからザックスに変更され、インナーチューブは特製の高剛性ステンレススチール製を採用。リアサスペンションも同様にザックスとなり、いずれもフルアジャスタブルタイプとなっている。ブレーキはラジアルマウントのブレンボキャリパーを採用しているが、モノブロックではなくキャスティングだ。これまで日本国内には上位グレードであるハイパーモタード1100Sのみが導入されていたが、ハイパーモタード1100EVOは本国で発売されていた標準グレードのアップデートバージョンとなるため、装備はそれに準じたものとなっている。オーリンズ製サスペンションやモノブロックキャリパーといったスペシャルパーツについては、さらに過激な走りを追求したハイパーモタード1100EVO SPに投入されることになる。ミラノショーを湧かせた鮮烈なスタイルはそのままに、中身はオールニューと言いたくなるようなアップデートを受けたハイパーモタード1100EVOは、まさにその名の通り進化したハイパーモタードだ。ドゥカティ空冷モデルの先鋭として、これまで以上の魅力を感じるマシンとなっている。

ハイパーモタード1100EVOの試乗インプレッション

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よりパワフルに、より軽量に
ハイパーがさらに進化する

まず、走り出して最初に気づくのは低速トルクの太さだ。エンジンを回さなければいけない一昔前のモデルと違い、昨今のドゥカティは低い速度域もある程度は使えるものの、基本的には高回転向けのパワーユニットであることは否めない。それでも先代のハイパーモタード1100Sに搭載されているデュアルスパークエンジンの場合は気に病むレベルではなかったが、「デスモドゥエ・エボルツィオーネ」はさらに低速側が強化されている。アイドリング状態から2000回転までの極低速域でも安定しており、少しスロットルを開ければ力強いトルクがスムーズに立ち上がる。そのため、街中など速度域の低いシーンでもギクシャクしない。

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今回の車両は慣らし中のため、残念ながら高回転のパワーを試せなかったが、中速域も明らかに力強くなっていたのは好印象。実際、4000回転も回せば高速道路の制限速度も軽く越えそうになってしまう。「もっと回さないと…」といった気遣いは無用だが、「気持ち良いから速度が出過ぎてしまう」のは要注意だ。ただ力強いだけでなくよく調教されているのも新エンジンの特徴で、排気量に余裕があるためか個人的にはハイパーモタード796よりも乗り易いように感じた。スロットルを開けていく面白さなら796、強烈なパワーを楽しみたいなら1100EVOという選択になるのではないだろうか。

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また、足回りの味付けの変化も進化のポイント。これまでのハイパーモタード1100Sは、エクストリームな乗り味が魅力であるのと同時に、エキスパート向けに設定された足回りが乗るライダーを選ぶモデルだった。ハイパーモタード1100EVOは、以前よりも接地感が分かりやすくなっており、低荷重の状態でもサスペンションがよく動く方向にリセッティングされている。エキスパートライダー以外でも、しっかりと美味しい部分を味わえる設定だ。先代モデルに乗って「ちょっと乗りこなせないかも…」と感じていたなら、今回の“EVO”を是非体験して欲しい。エキサイティングな走りを楽しむマシンがより身近になった、この進化は価値あるものと言えるだろう。

ハイパーモタード1100EVOの詳細写真

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新パワーユニット「デスモドゥエ・エボルツィオーネ」を搭載したハイパーモタード1100EVO。
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前モデルまではツインプラグだったが、新エンジンはシングルプラグ化されている。ボアとストロークに変更は無いが、最高出力が5馬力アップしトルクも向上。
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メーターは多機能で、車速や回転数のほか、時刻、油温、バッテリー電圧、ツイントリップ、燃料リザーブトリップメーターなどの表示が可能。また、ハイビームスイッチをストップウォッチボタンにしてラップタイム計測も行える。
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スイッチ類はストリートファイターシリーズから採用されたタイプに変更された。コンパクトにまとめられているが操作性は良い。
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オイルクーラーはハイパーモタード1100比で冷却面積を85%拡大。渋滞する街中も気にならないクーリング性能を確保している。
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スロットルケーブルはハイパーモタード796同様1本引き仕様となっており、スロットルワークは軽快だ。
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“ハイパースタイル”を主張する折り畳式ミラー。ハンドガードに内蔵されるウィンカーはLED。
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ルックスはハイパーモタード1100のスタイリッシュな外観をそのまま受け継いでいる。
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フロントフォークは50mm径のマルゾッキ製フォーク。インナーチューブにはスペシャルメイドの高剛性ステンレススチール製。ブレーキはブレンボ製ラジアルマウントキャリパーだ。
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軽量なホイールに装着されるタイヤはピレリ製ディアブロロッソ。ストリートでの使用を考慮したセレクトとなっている。
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テールカウルには“EVO”の3文字が加えられた車名があしらわれてる。
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テスターの身長は174cm。シートは高いがスリムな形状のため、つま先がしっかりと接地し不安感は少ない。

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