ドゥカティ モンスター696
- 掲載日/2012年02月21日【試乗インプレッション】
- 取材協力/Ducati Japan 取材・文・写真/和歌山 利宏
ミドルレンジ・ドゥカティが面白い
エンスーをも裏切らない
ドゥカティのエントリーモデル
ドゥカティに憧れていて、いつかは乗ってみたいと思っている人。でも、自分はドゥカを乗りこなせる技量も体力もなくて、体格的にも自信がないという人。また、ドゥカティが欲しくてもスーパースポーツには興味がなく、もっと普通に使えるバイクがいいと思っている人。だけど、それではドゥカティのブランドこそ冠せられているものの、ドゥカティのスポーツマインドを知ったことにならないんじゃないか、と疑っている人…。
そうした人の疑念を拭き払い、自信を持って薦めることのできるのが、このモンスター696である。こいつは紛れもなく、ドゥカティのベーシックモデルだ。ラインナップの中で最も汎用性が高く、多くの人が移動手段として使うことができて、それでいてドゥカティのエンスーを名乗る人を落胆させることもないスポーツ性を秘めている。
そんなうまくできたバイクがあるのだろうか? と思われるかもしれないが、そこは心配無用。1993年の初代モンスターM900の登場から15年の歴史を経て生まれただけのことはある。このモンスター696は、現在のモンスター1100、796、696の3モデルからなる新生モンスターファミリーの第1号機として2008年に登場したのだが、それ以前のモデルよりも幅広いユーザーの支持を得ようと、アクの強さを一掃するとともに扱いやすさに留意した造り込みを受けている。
まず、使えるバイクの条件として挙げられる、ハンドル切れ角と足着き性の良さを満たしている。ハンドル切れ角32度は、多くの国産ネイキッドモデルより小さいとは言え、以前のモンスターや他のドゥカティよりも格段に大きい。足着き性も良く、これなら街中や道幅の狭い峠道を走らせてもストレスはないだろう。ハンドル幅も以前ほど広過ぎず、すんなり馴染むと思う。また2012年型からはハンドル位置が20mm高くなっており、ますます快適になっている。
もちろん、エンジンも扱いやすい。現行ドゥカティは数年前にはあった低回転域のゴツゴツした唐突さが払拭され、扱いやすくなっているのだが、特にこのモンスター696はドコドコ感がスムーズで、ビギナーを緊張させることもない。また、APTCクラッチはレバー操作力が軽く、その点でも親しみやすい。
それでいて、いかにもお手軽バイクといった軽薄さは微塵もない。Lツインエンジンからは鼓動感がしっかり発せられていて、5,000rpmを過ぎたあたりから一段と太くなるトルクは、物足りなさも過剰感もなく、ドゥカティらしいトラクションを感じさせる。ハンドリングも日常域で軽快かつ俊敏なことに加え、旋回性能も高く、コーナリングの面白さも旗艦モデルに引けを取らない。
車体のフィーリングは、トラスフレームを持つドゥカティ以外の何者でもない。あのパイプが突っ張りながら段階的に撓んでいく感じは、ドゥカティならではの魅力であり、ときとして小難しさも出てくるが、これにアクの強さはない。前部のトラス構造部とリアフレームを兼ねた後部のダイキャストメンバーから成るハイブリッドフレームは、特にトラス部が高剛性で、トラスっぽさが抑えられ、落ち着きを感じさせる。
いまだかつて前例がなかったほど、ドゥカティがエントリーユーザーのことを考えて開発し、フレンドリーな味付けにマニアックさも上乗せされていて、ドゥカティファンを裏切ることもない。何にでも使えるバイク、いや使い倒すことのできるドゥカティである。
モンスター696の詳細写真
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