VIRGIN DUCATI | すべてにおいて大きく進化した怪物、ドゥカティ新型モンスターを試乗インプレッション! 試乗インプレッション

すべてにおいて大きく進化した怪物、ドゥカティ新型モンスターを試乗インプレッション!

  • 掲載日/2021年06月29日【試乗インプレッション】
  • 取材・文・写真/小松 男 
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DUCATI monsterplus +

初代登場から四半世紀以上経っても
色あせないネームバリュー

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鬼才デザイナー、ミゲール・ガルーツィ(Miguel Galluzzi)の手により、初代ドゥカティ・モンスターM900が発表されたのは1992年のこと。スーパーバイクモデルのフレームに空冷Lツインエンジンを搭載し、バーハンドル化したネイキッドモデルは、発表当時こそ一部既存のドゥカティファンから反感を買ったものだが、1993年に発売したとたん世界中で大ヒットを遂げたモデルであり、ドゥカティの歴史を大きく塗り替えた一台だと言える。

その後、水冷Lツインエンジンを採用したホットバージョンなど派生モデルを輩出しながら進化を続け、2008年には2代目、2014年には3代目となりドゥカティの看板モデルとして成熟を遂げてきた。そして2021年モデルではデザイン、エンジン、シャシーすべてにおいて新開発となる4代目モンスターが登場したのだ。今回はその新生モンスターのテストを行ってゆく。

ドゥカティ モンスター プラスの特徴

トレリスフレームを捨てた
初めてのモンスター

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世界最大級のモーターサイクルショーとして知られるEICMAだが、2020年は新型ウイルスの影響で中止となった。EICMAはドゥカティのお膝元であるイタリアのミラノで開催されるということもあり、毎年数多くの目玉モデルを登場させる場となっている。EICMAの中止を受けたドゥカティは5週間に渡り、インターネット上でドゥカティ・ワールド・プレミア2021というイベントを開催、そのラストとなるエピソード5で発表されたのが、新型モンスターだった。イベントでは初代のDNAを受け継いだデザインと紹介されたが、私の眼にはそうは見えなかった。なぜなら歴代モンスターが受け継いできたトレリスフレームが廃止されていたからだ。

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もちろん上手にスタイリングをまとめているため、一目見ただけで誰しもがドゥカティ・モンスターと察することができるのは流石と言える。ただ、カウルを持たないネイキッドバイクは、スーパーバイク以上にフレームワークを意識させるものであるため、違和感を持たずにはいられなかったとともに、乗り味的にかなりの変化があるのではないかと興味を抱いたものだ。そんなニューモンスターがいよいよ日本に上陸しデリバリーが開始されはじめた。早々に試乗する機会を得たので、その詳細をお伝えしよう。

ドゥカティ モンスター プラスの試乗インプレッション

しなやかで乗りやすく、それでいてアグレッシブ
エントリーモデルという印象は持たない方が良い

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ドゥカティの広報車両を管理しているデポに行くと、イタリアから送られてきた何十台ものニューモンスターが収まる箱が並べられていた。一つひとつに全国のディーラー名が書かれており、注目度、そして人気の高さが伝わってくる。そして私の目の前に姿を現したニューモンスターからは、想像以上にコンパクトで、ぎゅっと筋肉質に纏まっているという第一印象を受けた。エンジンは937ccの水冷となるテスタストレッタ11°Lツインエンジンを搭載している。従来モデルとなるモンスター821と比べ、100cc以上の排気量が引き上げられているが、最高出力では2馬力、ピークトルクは0.7Nmとわずかな増加しか行われていない。それはすでにモンスター821のスペックで十分なものであることを意味しており、それよりも扱いやすさであったり、官能感といった部分に注力したことに他ならない。

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威勢の良いサウンドを発するLツインデスモに火を入れて走り出す。まず、軽い。とにかく車体の動きが軽いのだ。乾燥重量は166kgとされており、9.5Nmを6500回転で発生させる太いトルクを持つ新型エンジンを組み合わせているのだからそう感じるのは当たり前とも言えるが、いとも簡単にフロントは浮き上がってしまう。パワーバンド域では吸気音も変わり、ライダーの気分を高揚させてくる。

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もし手練れならコーナーを攻めるような走りをし、コーナー脱出時にスロットルをワイド目にひねると、テールスライドもしくはバンクしたままフロントアップというような芸当を見せることができるが、ドゥカティの最新電子制御テクノロジーは偉大であり、破綻せずにパスできる。よって、ビギナーであっても究極的なスポーツライディングの世界を垣間見ることができるのだ。

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3パターン用意されたライディングモードも容易に変更することができ、それぞれの特性もしっかりと感じ取れる。ウエットなどの悪路や、市街地や高速道路など、ステージやシチュエーションによってモード変更を上手く使いたいところだ。

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これまで歴代のモンスターに触れてきた経験を持つが、ニューモンスターは相当にパワフルなキャラクターであり、それでいながらも扱えてしまう気にさせるフレンドリーさを併せ持っている。これはモンスター821でも感じられたことだが、それよりも一段と高級感が増したイメージだ。これまでを振り返ると、今後サスペンションをはじめ足まわりなどを換装した上位モデルや、外装を変更したスペシャルモデルなどの派生モデルが登場してくることも想像することができるが、はっきり言ってしまうと、大多数のライダーは、これ以上のスペックであったり装備というものは必要がないと思う。以前150馬力を誇るモンスター1200なども存在したが、ストリートではそれを発揮する場はなく、サーキットに持ち込んでもレースをするならば別のモデルを選ぶことだろう。そう考えると、今回のニューモンスターは、全方面で使いやすく、それでいて乗って楽しく所有欲を満たしてくれるベターバランスに仕上がっているものだと感じられた。

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一点、国内販売モデルはローシート及びサスペンションキットが標準装備となっているが、身長178cmの私はハンドルとの位置関係に若干シートが低すぎると感じた。可能であれば本国標準シート高モデルも試してみたいところである。

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ドゥカティ モンスター プラスの詳細写真

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937cc水冷デスモドロミック・テスタストレッタ11°Lツインエンジンを搭載。最高出力は111ps/9250rpm、最大トルクは9.5Nm/6500rpm。ユーロ5に適合。エンジンを中心にフロントフレームと、スイングアームが取付けられている。
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フロントタイヤは幅120、径17インチのピレリ・ディアブロロッソ3。コーナーリング時の接地感が高く、どのように摩耗するか気になるところ。ブレーキはブレンボのモノブロックキャリパーを左右にラジアルマウントする。
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ドゥカティ・モンスターのアイデンティティである1眼タイプのヘッドライトは健在。LEDデイタイム・ランニング・ライトシステムが組み合わされ、モダンな顔つきとなった。
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ターンシグナルは、タンク下部にインサートされる形でセットされている。流れるようなリレータイプの灯火とされており、モダンな印象を受ける上、他者からの視認性も高い。
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ドゥカティ・クイック・シフトを標準で装備。クラッチレバー操作をせずにシフトアップ、ダウンが可能だ。ロッド長が短く設定されているためか、その動作はスムーズでノーストレス。ステップバー兼タンデムステップステーのパーツがスイングアームピボットと共じめされている。
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ホイールはモンスター851と比べ、1.7kgの軽量化を成功している。バネ下重量の軽減は、ハンドリングに大きな変化をもたらす。リアタイヤサイズは180/55ZR17で、両持ちスイングアームを採用している。
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ニューモンスターのデザインアクセントになっているショートタイプの2本出しサイレンサー。後方にかけて跳ね上がるようにセットされ、歯切れの良いLツインサウンドを奏でる。
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日本仕様はローダウンサスペンションキットが採用されている。専用工具を用いてプリロード調整が可能。140mmと大き目のストローク量を活かして快活な走りを楽しめる。
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日本仕様のシート高は775mmに抑えられている。私の場合両足をついて膝が曲がるほどに低く、安心感という面では確かに恩恵を受けるものの、ハンドルバーやステップとの位置関係に関しては、本国標準シート高モデルも試して見たくなるものだった。
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4.3インチTFTカラー液晶ディスプレイを採用。様々なインフォメーションが表示され、ライダーへの車両状態が伝わりやすい。メーターバイザーはモンスター プラスに標準装備される。
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左側のスイッチボックス。スイッチレイアウトは意外とシンプルなものとなっている。上下スイッチとウインカースイッチを使い、ライディングモード切替をはじめ、各種セッティングを行うことが可能だ。
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有機的な造形が美しい燃料タンク。ドゥカティ・レッド、アビエイター・グレー、ダーク・ステルスのカラーバリエーション。オプションでステッカーキットや、カバーキットが用意されており、自分好みのモンスターに仕立て上げることができる。
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ボリューミーなエンジン、タンクまわりと比べ、シャープでコンパクトなスタイリングが求められたリアセクション。テールランプに使われるチューブLEDがサイドまで伸ばされており、安全性も考慮されている。

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