ドゥカティ ムルティストラーダ1200エンデューロ
- 掲載日/2016年07月05日【試乗インプレッション】
- 取材協力/Ducati Japan 取材・文/河野 正士 写真/Ducati Japan
ムルティストラーダ1200エンデューロの試乗インプレッション
時間をかけじっくりと開発を進めてきた
それを感じる見事なオフロードフィーリング
1200エンデューロの開発は、テスタストレッタDVT(デスモドロミック可変バルブタイミング)エンジンを搭載する現行ムルティストラーダ1200の開発とほぼ時を同じくする2012年からスタートしているとの説明を受けた。そこには多くのオフロードライダーやオフロードのスペシャリストが関わり、ダカールマシンのテストなども行われるイタリアの巨大なテストコース/ナルドなども徹底的に走り込んだのだという。スタンダードのムルティストラーダもナルドでのオフロードテストは行っていたものの、1200エンデューロではその頻度やテスト走行距離は圧倒的に増えたそうだ。
そんなマシンを自分のようにビッグオフでオフロードを走り慣れていない人間が乗るとどうなるか。それが、楽しめてしまったのが1200エンデューロの凄いところだ。L型ツイン特有の重心の高さと、ステップ周りにクランクがある重心バランスによって、大きな車体をオフロードでも動かしやすく、それでいて安心感もある。もちろんそれにはストローク量が増えさらによく動くようになった前後サスペンションの影響も大きい。コーナー起ち上がりで、バランスを取ろうとむやみに開けたアクセルは“エンデューロモード”のトラクションコントロールによって見事に間引かれ、それによってバランスの崩れ方や車重を考慮すればいとも簡単にリカバリーできたのは、電子制御によるサポートによるものだ。慣れてくればトラコンの介入度を少し減らし、よりリアスライドを許容する、エンデューロモードをベースにさらにセッティングを進めると、よりオフロードらしいダイナミックな走りを堪能することもできた。オフロードのスペシャリストではない自分にとって、オフロード走行時のトラクションコントロールやABSは、まさに魔法の杖なのだ。
大径ホイールの採用やそれにともなうディメンションの変更はオフロード走行でのパフォーマンス向上を求めたものだが、それによってオンロードにおけるネガティブな部分は感じられなかった。個人的には、ワインディングでは「ツーリングモード」のややしなやかなアシの方が好みだった。足周りがキュッと締まった感じになる「スポーツモード」より、少しペースを抑えて走ってもピッチングを出せるセッティングの方がスポーティな走りが楽しめたのだ。
また渋滞した街中のほか、細い山道ではローギヤードになった中低速がじつに使いやすかった。DVTの採用により中低速域での扱いやすさは抜群に向上したが、今回のギア比変更でさらに扱いやすさを増したと言える。
唯一難点を言えば、シートだ。国内仕様はローシートが標準装備されている。数値的には標準シートから20mm低い、シート高850mmだが、シートの角が張り足つき性も座り心地もイマイチだった。日本ではオプションとなる870mmの標準シートを試したが角が取れじつに快適。足つき性も、ほとんど変わらないと感じた。シートに関しては、スペックよりも座り心地を重視して選ぶことをオススメする。
ムルティストラーダ1200エンデューロは、アクセサリーを組み合わせた、スポーツ/ツーリング/アーバン/エンデューロの4つのパッケージが用意されている。今回はツーリングアクセサリーのトップブランド/ツラーテック社との共同開発アクセサリーが多数ラインナップしていることから、ツーリング好き&オフロード好きライダーがグッとくるツボをおさえたオプションパーツが多数ラインナップされていた。これらのパッケージをベースに自分好みのマシンに仕上げることをオススメする。
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