4 Bikes in1の深み、ムルティストラーダ950でもついに。
- 掲載日/2019年03月25日【試乗インプレッション】
- 取材・文/松井 勉 写真/Ducati Japan
4 Bikes in1を彩る最新のテクノロジーをついに搭載!
大胆なデザイン、優れたシャーシ性能。そして街、旅、峠、未舗装路に対応するプレミアムアドベンチャーバイク。それがムルティストラーダだ。最新の電子制御技術を駆使し、エンジンレスポンス、トラクションコントロールとABS制御、走行時に適宜減衰圧を変化させるセミアクティブサスペンション、ドゥカティ・スカイフックサスペンションEVO(以下DSS EVO)をライディングモードごとに切り替え、まるでバイクの乗り味をアーバン、ツーリング、スポーツ、エンデューロと4つあるライディングモーに選択するだけで変化させる。それがムルティストラーダが標榜する4 Bikes in1コンセプトだ。
ムルティストラーダ950Sの特徴
だから950にも欲しい。だから950が変身する。
ドゥカティのアドベンチャーバイク、ムルティストラーダは同社の中でもボリュームセラーだ。その中でも2018年シーズンに投入されたムルティストラーダ950はシリーズ全体の30%を占める人気モデルとなった。
その理由は1260系と比較して身近なプライスであることが一つ。その分、1260Sや1260エンデューロが装備するTFTカラーモニター、ハンズフリーキー、LEDヘッドライト、クイックシフター、そして電子制御セミアクティブサスのDSS EVOなどはコンベンショナルなものに置き換えられていた。
それでも、1200エンデューロ同様の2本スイングアームとフロント19インチ、リア17インチというホイールサイズ、前後170mmのホイールストロークがもららす走破性の高さや、ハンドリングの自在さ。搭載されるほどよいトルク、ほどよいパワーのエンジンの組み合わせは、良質な走りを提供した。人気の秘密がこれだ。この950に1260シリーズ並の充実装備を与え、ムルティが提唱する4 Bikes in1の世界観を電子制御技術で具現化する装備を全部のせしたモデルが投入される。それがムルティストラーダ950Sなのである。
ムルティストラーダ950Sの試乗インプレッション
操作系にもしっかりアップグレード。キャストとスポークで乗り味に違いも。
テストは午前中、午後で車両を乗り換えて行われた。走ったのはスペイン、バレンシアをスタートし、320キロを走破するたっぷりとしたルートが組まれている。午前中、僕たちはパニアケースやセンタースタンド、グリップヒーターを装備したツーリングパッケージ装備車に跨がった。国内ではオプション扱いになるがスポークホイール仕様のモデルだ。
ちなみに、車重はスポークホイール仕様がキャストホイール車より5キロ重い。見た目のワイルドさを求めたり、オフロードを走るならスポーク仕様のほうがより適していると思う。950Sのがっしりした車体にパニアを左右に付けた程度ではびくともしないが、ややバイクを寝かす方向にはゆったりした印象がある。950のエンジンは低回転から扱いやすく、クラッチがワイヤーから油圧タイプになったほか、ブレーキマスターもサイドプッシュからラジアルポンプになったため、レバーの操作感からも高い質感が伝わる。新たに装備されたクイックシフターもあって、町中レベルの速度から駆動力の途切れ感が少ない素早いシフト操作が可能になった。
なにより、新たに装備された電子制御セミアクティブサス、DSS EVOがもたらすフラットな乗り味が最高。荒れた市街地の路面でも高速道路でも気持ちよい乗り心地を提供してくる。そもそも950は車体のピッチングを許容するわかりやすいサス設定だった。その950と1260系の中間にあるような適度なストローク感ながら抑えるべきところはしっかりDSS EVOが仕事をする、という理想の足になっていた。
なにより、ワインディングに入り強めにブレーキングをしても、タイヤをしっかりと路面に抑え付けながら姿勢を保ってくれるので、前のめり感がない。速度、ブレーキの強弱も併せてサスが減衰圧を調整してくれるので気持ちよく走れる。
ライディングモードを変えても、エンジンの特性と足回りが一緒に変わるし、適宜減衰圧を整えてくれるので本当に気持ちが良い。嬉しいのは、1260シリーズより、950のエンジンのほうが、シフトする回数も多く、より楽しさがあった。
午後に乗ったキャストホイール仕様はさらに軽快で、パニアがない分、峠では一体感を心から楽しめた。19インチの前輪がもたらすどこでも軽快なターンインは本当にファンだ。ああ、だから950は売れるのと再確認。あっというまに一日を走り終えた。どこか日本にも近いバレンシアの道で感じた実力には期待大だ。最後に、950と950Sの価格差は23万円ほど。1260系とは80万円以上の開きがあるから、これは本当に嬉しいニュースではないだろうか。
ムルティストラーダ950Sの詳細写真
SPECIFICATIONS – DUCATI multistrada950s
価格(消費税込み) = 141万9,000円~
※表示価格は2019年5月現在
水冷Lツインを新設計トレリスフレームに搭載した第三世代モンスターシリーズの最新作。エンジン自体を剛性メンバーとして利用するシャーシや電子制御の投入が特徴となっている。
■エンジン型式 = 4ストローク 水冷L型2気筒DOHC4バルブ
■総排気量 = 821cc
■ボア×ストローク = 88 x 67.5mm
■最高出力 = 80kW (109ps) / 9,250 rpm
■最大トルク = 86Nm(8.8kgf-m) / 7,750 rpm
■トランスミッション = 6速リターン
■サイズ = 全長2,099mm× 全幅799 ×全高1,085mm
■車両重量 = 193kg
■シート高 = 785/810mm 可変式
■ホイールベース = 1,480mm
■タンク容量 = 16.5リットル
■Fタイヤサイズ = 120/70-17
■Rタイヤサイズ = 180/55-17
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