ドゥカティの新型パニガーレV4Sを最速インプレッション
- 掲載日/2018年02月02日【試乗インプレッション】
- 取材協力/Ducati Japan 取材・文/伊丹 孝裕 写真・動画/Ducati Japan
モトGPマシンに近づいた
新世代のスーパーバイクが登場
2017年11月、イタリアのミラノで開催された「ドゥカティ・ワールド・プレミア」の場で公開されたのがパニガーレV4/S/Specialeだ。これまでのパニガーレと決定的に異なるのはエンジンで、ドゥカティの代名詞とも言えるL型2気筒ではなく、モトGPマシンと同形式のV型4気筒に刷新されたことが大きな話題になった。もちろん、それに合わせてフレームも完全新設計となり、足周りや電子制御も大幅に進化。現在市販されているすべてのスーパースポーツを凌駕するスペックが、一体どんな走りをみせてくれるのか?
パニガーレ V4Sの特徴
Vバンク角、ボア、点火タイミング……
そのすべてがモトGP用エンジンと同一
パニガーレV4Sは、その車名が示す通りV型4気筒エンジンを搭載していることが最大のトピックだ。これはドゥカティの量産モデルとしては初採用であり、2輪レースの最高峰「Moto GP」に送り込まれているファクトリーマシンと共通である。
しかも単に形式が同じということに留まらない。というのも、90度のシリンダー挟み角や81mmのボア径、0度-90度-290度-380度の間隔で各気筒が爆発していく点火タイミング、フロントホイールのリフトアップを抑制する逆回転クランクシャフトまでもがそっくりそのままフィードバックされているからだ。
明確に異なるのは排気量で、モトGPマシンが1,000ccなのに対し、パニガーレV4Sは1,103ccを誇る。ストロークを増やすことによって低中速トルクを稼ぎ、ストリートでの扱いやすさに配慮されているというわけだ。だからと言って、パワーが制限されているわけではない。実際、最高出力は214ps/13,000rpmをマークし、名だたるスーパースポーツと比較しても抜きん出て高いスペックである。
エンジンの刷新に伴い、もちろん車体もゼロから設計し直されている。モノコックフレームにしては存在感があり、ツインスパーフレームにしては短い独特の形状を持つそれは「フロントフレーム」と呼ばれ、剛性バランスの最適化と軽量化、コンパクト化が図れる独創的な構造になっている。
従来2気筒だったエンジンが4気筒になったことで車重の増加が気になるところだが、装備重量は1299パニガーレと比較してわずか5kg増の195kgに抑えられ、パワーウェイトレシオに至っては0.91という驚異的な数値に到達した。運動性の高さを感じさせるこうしたスペックをサポートするのが、数々の電子デバイスだ。処理能力が格段に増したボッシュ製の6軸慣性測定ユニットが搭載され、コーナリングABS/トラクションコントロール/スライドコントロール/ウィリーコントロール/エレクトリックサスペンション……といった各機能を制御。あらかじめ設定された3パターンのライディングモード(ストリート/スポーツ/レース)とも連動し、常に最適なエンジン特性や車体姿勢、制御の介入度を選択することが可能になっている。
グレードの違いだが、前後サスペンション(前:SHOWA/後:ザックス)が機械調整式のスタンダードモデルに対し、ここで紹介する上級バージョンのV4Sにはオーリンズ製電子制御サスペンション&ステアリングダンパー、鍛造アルミホイール、リチウムイオンバッテリーを装備していることが特徴だ。
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