ドゥカテイ スクランブラーにカフェレーサースタイルを融合したネオクラシック カフェレーサー
- 掲載日/2017年12月25日【試乗インプレッション】
- 取材・文/佐川 健太郎 写真・動画/山家 健一 衣装協力/HYOD
スクランブラー カフェレーサーの 試乗インプレッション
カフェ文化を感じつつ
その個性を楽しみたい
60年代のロンドンを中心に発祥した「カフェレーサー」は、市販バイクを当時のプロダクションレーサー風に改造したのが始まりで、より速く走るためが目的であったにせよ、夜な夜なカフェに集まり仲間同士でその作品としての出来栄えを自慢し合うという文化的な側面もあった。
彼らが当時流行った不良アイコンとしての革ジャンを着込んだ「ロッカーズ」スタイルを好んだこともあり、その後ファッションや音楽などと結びついたムーブメントとして世界中に広がっていくのである。つまり、カフェレーサーとは既成概念を打ち破る新たな精神文化であり、それをカタチとしてバイクで表現したものだったと言える。その意味で、ドゥカティがスクランブラーで掲げる「Land of Joy」の自由な精神とも矛盾することなく結びついているのだ。
まずは外観がユニークだ。繰り返しになるが、60年代カフェをスクランブラー流に料理した懐かしくも新しいデザインに目を奪われる。角度によってはダートトラッカーのようにも見える、なんとも表現しづらいスタイルだ。
ライディングポジションはハンドルが低めで開いていて、見た目によらずけっこう前傾するちょっと変わったスタイル。それでいて、タンクとシート面がフラットなので知らず知らず前乗りになりやすいなど、ライディングポジション的にもカスタム車らしい。シートは低めで車体もスリムなので、他のスクランブラー同様、足着きは良い。
エンジンは低速から粘りがあって扱いやすく、空冷Lツインらしい柔らかなパルス感が気持ちいい。スロットルレスポンスにややダルさはあるが、基本的にパワーデリバリーはスムーズ。4,000rpm辺りからトルクが盛り上がって7,000rpm辺りまでが実用域だ。エンジンは回し過ぎず、そのレンジ内で小気味よくシフトアップしていくと楽しく乗れる。同じエンジンを搭載するモンスター797にも同時に試乗したが、エンジンの味付けとしてはカフェレーサーのほうがより穏やかだ。
クラッチも軽く、ブレーキもモノブロックではあるがディスクが一枚ということで程よく効いてコントローラブル。ABSは他のドゥカティ同様、リアは適度に介入するがフロントはかなり突っ込むまで作動しないスポーティな設定だ。前後サスペンションはソフトな設定で初期の沈み込みが大きく乗り心地も良い。
ハンドリングはちょっと独特だ。フロント17インチホイールを採用しているため、他のスクランブラーに比べるとフロントが低くキャスター角も立ち気味なので、ステアリングの応答性は鋭い。前下がりの車体姿勢ということもあり、フロント荷重がかかりやすく旋回性も高いのだが、一方でやや神経質さも感じることも。スポーティな乗り味であることは確かだが、ゆったり乗りたいならフロント18インチの他のスクランブラーのほうがおすすめかもしれない。
スクランブラーのテイストとカフェレーサーの雰囲気を味わいつつ、ストリートをほどほど元気よく走りたい人にうってつけ。異端のデザインを含めてその個性を楽しみたい人におすすめのモデルだ。
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