VIRGIN DUCATI | ドゥカティのスクランブラー アーバンモタードを試乗インプレッション!アーバンスポーツを満喫できるファンバイク 試乗インプレッション

ドゥカティのスクランブラー アーバンモタードを試乗インプレッション!アーバンスポーツを満喫できるファンバイク

  • 掲載日/2022年09月22日【試乗インプレッション】
  • 取材・文・写真/小松 男 
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DUCATI SCRAMBLER URBAN MOTARD

ドゥカティ スクランブラーが目指す、
新たな方向性の一つ

1962年に登場したドゥカティ スクランブラーは、北米を中心に販売され、当時ドゥカティの認知を広めた立役者となった。そのオマージュモデルであり、ドゥカティブランドの一つとして復活を遂げた新世代”スクランブラー”が発表されたのは2015年のこと。

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それまでのドゥカティの方向性で見られた秀でたスポーツ性能に加え、ファッショナブルであり、日常的にも使いやすいモーターサイクルとして、これもまた受け入れられるものとなった。

60年代のスクランブラーが単気筒エンジンを採用していたのに対し、ニュースクランブラーはお得意のLツインエンジンを搭載、ドゥカティのモダンスポーツモデルが次々と水冷エンジン化されていく中で、スクランブラーは別路線を歩んできた。そんなドゥカティ スクランブラーの最新モデルであるスクランブラー アーバンモタードを紹介しよう。

ドゥカティ スクランブラー アーバンモタードの特徴

SUPERでも、ましてやHYPERでもない
URBANな仕上がりのモタード

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まず最初にスーパーモタードと呼ばれるバイクスタイルのジャンルについて簡単に説明するところから始めよう。20世紀終盤のこと、全長もほどほどで幅も狭いコースに、連続する直角コーナーやヘアピン、オフロードセクションなどをセットして競われるスーパーモタード(スーパーモト)と呼ばれるレースが欧州を中心にブームとなった。

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観客席から見渡せるほどのコースであることや、ドリフト走行を駆使して競われるバトルに人々は興奮した。狭いコースであっても振り回しやすいアップライトなライポジ、かつ軽量でスリムな車体が求められたこともあり、おのずとオフロードモデルをベースとし前後17インチタイヤで構成されたマシンが主流となった。

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それはストリートでの戦闘力も高いものであり、多くのメーカーがモタードルックのモデルを輩出した時期もあった。そのような中、2007年にドゥカティからハイパーモタードというモデルが登場することとなる。それまでのスーパーモタードがオフロードモデルをベースとしていたのに対し、どちらかというとオンロードスポーツ的にセットアップされたハイパーモタードは異色とも言えるものだが、ドゥカティらしい美しさやエキサイティングな乗り味で幅広く支持され現在まで続いている。

そのようなバックボーンがありながら、今回はドゥカティブランドのネオクラシックとも言える、もう一方の看板を担うスクランブラーシリーズからもモタードを銘打ったスクランブラー アーバンモタードが登場したというわけだ。

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様々なモデルを展開してきたスクランブラーだが、アーバンモタードはワンシーズン前に登場したナイトシフトを元に、フロントタイヤを17インチ化したほか、アップフェンダーやハイグリップタイヤの装着、ストリートグラフィティを連想させるボディカラーで纏められた。それではスクランブラー アーバンモタードに乗り、その感触を探っていこう。

ドゥカティ スクランブラー アーバンモタードの試乗インプレッション

しっかりと扱いきれる
ストリート仕様のファンスポーツ

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初めてスクランブラー アーバンモタードを目の前にした際の第一印象は、上手くコンパクトに纏められているということだった。ナイトシフトもそうだったのだが、万人受けするサイズ感でありながらもチープさが無いのだ。しかもタンクに描かれたストリートテイストのグラフィックも映え、これは乗った後に思ったことだが、市街地を走らせていると、通行人が振りむこともしばしばあった。

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幅の広いハンドルに手を添え、エンジンを始動し走り出す。成熟した空冷Lツインエンジンは、想像以上に滑らかで、とても快適だ。以前私が乗っていた空冷モンスターは、低回転域でゆっくり走らせようとするとやや神経質な一面を見せていたものだが、スクランブラー アーバンモタードは流すようなクルーズも許容してくれる。

しかしこれもドゥカティ、ひとたびスロットルをワイドオープンにすれば、エキサイティングなスポーツライディングの世界に一瞬で引き込んでくれる。803ccというミドルクラスの排気量に抑えられていることもあり、トルクは太いと強調するほどではないのだが、その分低いギアのままで5~6000回転を使って走らせると快活で楽しい。

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倒立フォークでありながらも、想像以上に左右にハンドルが切れることもあり、狭い道でもガンガン入っていきたくさせてくれる。それに大胆なシフトダウンをし、リアタイヤをハーフロックさせるような走らせ方をするのが気持ち良い。スイングアームが長めのセットとなっているため、大きくスライドすることも無くコントローラブルなのだ。これならばドリフトの練習用としても良いだろう。

高速道路やワインディングなど、色々なステージに持ち込み走らせてみたが、ストリートを走らせるのが抜群に楽しい。だからこそ、毎日乗っても飽きがこない。

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強いて言えばシートの幅が広く低い、さらにタンクと近いため、本格的なスーパーモタードのように振り回そうとするとダルな面もあるが、これはあくまでもアーバン(市街地)モタードであり、そこまで求める物ではない。

スロットルもアナログなワイヤー引きであるため、優しさが感じられるスロットルレスポンスをもたらしてくれるのも乗っていて人間味を覚えたポイントとなった。刺激的ではあるが、どこか懐かしい印象で、ホッとした気分にさせてくれるのだ。

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どうせ乗るなら大排気量モデルを、と考えてしまいがちだが、排気量803cc、最高出力73馬力という数値は十分であるし、何よりも扱い切れるからバイクは楽しいということも忘れてはならない。これまで色々なドゥカティ スクランブラーの試乗を行ってきたが、その中でもスクランブラー アーバンモタードは、トップクラスのフレンドリーさとエキサイティングな乗り味を兼ね備えたモデルとなっていた。

ドゥカティ スクランブラー アーバンモタードの詳細写真

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1971年から続くドゥカティの伝統とも言える空冷2バルブL型ツインエンジンを搭載。ボアストロークは88×66mmの803cc、最高出力は73馬力、最大トルクは66.2Nmとされている。
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φ41mmのKYB製倒立フォークに17インチのワイヤースポークを組み合わせる。フロントタイヤ120/70ZR17、リアタイヤ180/55ZR17のセットは、以前存在したスクランブラー カフェレーサー(キャストホイール)と同様だ。
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フロントマスクには、DRL(デイタイム・ランニング・ライト)を装備した丸型ヘッドライトを採用し、その下部にスクランブラー アーバンモタードのキャラクターを印象付けるアップフェンダーを備える。
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シート高は805mm。数値からすると足つき性は良い印象で、体格を問わず不安なく接することができるだろう。厚手でフラットなシートは乗り心地は良いが、スポーツライディングをする際にはもう少し細身の方が良さそうだ。
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丸型ケース内に収められたLCDメーターパネル。アルミベゼルは交換可能。回転計は12000回転まで目盛があるが、9000回転程度でリミッターが作動していた(ソフトリミッターなのでスロットルの開け方によって作動回転が変わる)。
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ハンドル幅は広め。左側のスイッチボックスでメーターに表示するインフォメーションの変更などができる。他モデルと流用なので、ウインカースイッチにモード切替などが記されているが、その機能はない。
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サイドのアルミパネルがフローティングしたデザインとなっている燃料タンク。容量は13.5リットル。ストリートグラフィティを連想させるペイントは、スクランブラー アーバンモタード専用となる。
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リアサスペンションはプリロード調整機構付きのモノショックで、トレリスフレームとスイングアームを直につなげる。ホイールトラベル量は前後ともに150mmとなっている。
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スクランブラーシリーズのアイデンティティとも言える湾曲タイプの両持ちスイングアームを採用。純正タイヤとしてピレリ製ディアブロ ロッソ3が採用されている。サイレンサーはナイトシフトと同形状だ。
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テールランプ及びウインカーはシートから続くフェンダー周りにセットされており、ライセンスプレートは、スイングアームに備えられたステーに支持されている。タイヤとフェンダーの間に空間が持たされておりスポーティな印象。
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ミッションは6速。ライダーのステップとタンデムステップが同一ステーとなっており、スイングアームピボットを介しているため、バックステップなどへの交換は整備技術を要しそうだ。
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シート下を見ると後方にユーティリティスペースが設けられている上、中央にUSB電源ソケットも備わっていることが分かる。なおシート裏には車載工具もあり、リアサスペンションのプリロード調整ツールも同梱されていた。

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