第17回 新型が出ても頑張るゾ!
- 掲載日/2010年08月31日【それでもムルティを買いました!】
- 取材協力/ドゥカティ横浜
旧型には旧型の良いところも!
どうなんだ? 新型ムルティ!
北海道ロケで感じたアレコレ
ほんとーに久々の更新となります、すみません。アレやコレやと更新スケジュールがズレズレで、完全に担当者の趣味のページであるこのコーナーは、ずーっと更新が後回しになっていたワケですが…。皆さんご存知の通り、そうこうしている間に新型ムルティストラーダ1200および1200S(以下、新型)が華々しいデビューを飾りましたね。ナナなんと、ムラヤマとワタクシもWEB用動画の撮影をするためにプレス向け試乗発表会が行われた北海道に飛んだりしていたのでアリマス。で、公開した動画がコレ。(もう見て頂けました?)
実はこの撮影、1泊2日の日程(撮影は実質9時間程度)で北海道は支笏湖周辺を走り回り、新型のウリである4つのモードを駆使した走行シーンを撮影するという強行軍。それゆえ我々は昼食もとらずに北の大地を走り続けていたのですが、その分新型はもう思う存分味わってきました。そこで今回は、撮影中に感じた新型にまつわるアレやコレや&こぼれ話をご報告したいと思います。
ミスコース&渋滞そして酷暑
それでも快適だった新型
前日のブリーフィング内容を思い出しつつ2台の新型を借り受けた我々。まずは大通公園で「アーバンモード」の撮影をしようということになり、ドゥカティ札幌さんを出発したのですが…。なぜか簡単なルートをミスコース、スタートして30分後には巻き込まれないでもよい渋滞に揉まれていたのでありました。用意された試乗車は撮影機材を運搬するために真新しいパニアケースがフル装備。初めて乗る車両でなかなかシビれるシチュエーションではありますが、そんなシーンでも新型は非常に優秀でした。まず、極低速からLツインとは思えないトルクがモリモリと沸き出てくる感じで、それがまた扱いやすい! リアブレーキで後輪を押さえつつの低速走行なども自由自在。車高があるのに安定感も高く、車列を縫うようにグイグイと前進した我々は無事に大通公園に到着することができたのでありました。
専用設計のパニアケースは、装着しても車幅はギリギリまでシェイプ。それでもすり抜けには気を遣いますが…。
ところが、そこで待ち受けていたのが酷暑。陽が高くなるほどにどんどん上昇する気温…。そう、この日は北海道が30年ぶりに猛暑日となったあの日なのでありました。その大通公園を撮影のために何周も低速走行する新型。しかしそこは最新の水冷エンジン、水温は完璧なまでに安定し、ライダーにもエンジンの熱がそれほど伝わってこない。年々暑くなる日本の夏にも余裕をもって対応することを証明してくれたのでありました。さて、ここで忘れてならないのがアーバンモード。エンジン特性がマイルドになり、サスペンションもソフトに。トラクションコントロールとABSの介入度合いは高くなる方向に調整されるのですが、その乗り心地も実に秀逸。前後サスペンションが動きやすくなるためにリーンも軽快で、まるで乗りなれた愛車のように市街地を走行できます。「従来のドゥカティとは別次元の乗りやすさ」という共通認識をもって我々は大通公園を後にしたのでありました。
ツアラーへと変貌した新型
しかし、思わぬ落とし穴には要注意
ということで市街地での走りっぷりに気をよくした我々は、高速道路をランデブー走行しつつツーリングモードのシーンを撮影。ここで意外だったのが、新型がそれほど速いと感じなかったこと。まったくもって個人的な感想ですが、加速感や走りの鋭さは愛車の旧型ムルティストラーダ1000S DSの方が刺激的だと感じたぐらい。もちろん新型が遅いということではなくて、競争したら旧型を振り切るのでしょうけど、あくまでも体感上はそう感じました。まあ、新型の日本仕様は150HP/9250rpm ⇒ 102HP/6000rpmと本国仕様から大幅にディチューンされているので、スペック上も92HP/8,000rpmの旧型(1000)に対してそれほど有利なわけじゃない。それでも想像を遥かに超えるパフォーマンスを発揮するドゥカティ空冷Lツインを凌駕しているのですから、新型日本仕様もかなり速いバイクだということをご理解いただけるのではないでしょうか。
走行モードに連動するオーリンズ製の電子制御式サスペンション。オフロードまでカバーする性能は驚異的。
さて、ツーリングモードの走りですが、これは当然アーバンモードよりもエンジン特性が格段に元気よくなるのですが、ライダーを疲れさせないように右手に対するレスポンスも緻密に制御されているという印象。パカっと開けてもパワーとトルクが柔らかに立ち上がる領域が設けてあり、実に大型ツアラー的。こうしたキャラクターが体感的な速さをあまり感じさせなかった要因なのかもしれません。
また、前後足回りの変化も絶妙。乗り心地もソフトなアーバンモードからダンパーをギュッと締め上げたという感触で、良好なロードホールディングを実現しつつ居住性も快適だと感じました。一方、新型に関してちょっとした注意点も。実は高速道路に入る直前、カメラやマイクのセッティングを調整するために停車し、パニアケースおよびタンデムシートの開閉を行ったのですが、高速道路走行中にメインキーをシート下のキーシリンダーに挿しっぱなしだったことに気付いたのです。新型はメインキーと車体が無線通信することによりエンジン始動が可能となるキーレスシステムを採用しているのですが、その関係でメインキーをパニアやシート下のキーシリンダーに挿入したままでも走行できてしまうのです。この状態で走行を続ければ振動などでメインキーを落としてしまう可能性もあり要注意です。私の場合は走行中にインジケータに表示された“NO KEY”の表示を見てサービスエリアに飛び込んだので事無きを得ましたが、何れにしても注意が必要です。
おっと、書きたいことを書いているうちにスペースが無くなってしまいました。次回はスポーツモードとエンデューロモードについてもご報告したいと思います。
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