【海外試乗速報】モンスター1200R メディア向け発表会
- 掲載日/2015年10月16日【トピックス】
- 文/和歌山 利宏
写真/Ducati、和歌山 利宏
取材協力/Ducati Japan
車両構成を共有するだけに、基本的な乗り味はモンスター1200Sから引き継いでいる。低中回転域のトルクはモンスター1200Sのほうが勝るが、高回転域はやはりエキサイティング。足つき性が劣ること以外は、扱いやすさも大差ない。
新しくモンスター1200Rが登場
それは最もパワフルなネイキッド
2015年9月14日、フランクフルトショーにおいて、新しくモンスターファミリーに加わるモンスター1200Rが発表されましたが、早くもその2週間後、スペインのアスカリサーキットに世界各国からジャーナリストを集めて試乗会が行われました。
アスカリ・レースリゾートは南スペインの山村、ロンダ近郊にあり、石油化学会社を経営するオランダ人のクラース・ズワルト氏によって造られたプライベートサーキットです。高速走行を“アドレナリンを感じながらも、優雅にリラックスして楽しむ”がコンセプトというだけに、一般的なレーシングコースとは一味違っています。過去にはここでモンスターS4RSやストリートファイターに乗っており、新しいモンスター1200Rの真価を知るには打って付けのシチュエーションと言えるでしょう。
ともかく、乗ったモンスター1200Rは最高で、コースのコンセプト通り、エキサイティングかつ優雅に走りを堪能。基本はモンスター1200Sなのに、ここまで熱く走れることにモンスターの懐の深さを思い知らされる試乗でした。モンスターに、新しく走り屋向きの選択肢が増えたというわけです。
フォトTOPICS(写真点数/17枚)
01試乗会を前にしてピット前に並べられたモンスター1200R。奥側に見えるのが第1コーナーだ。9月末、スペインでの日の出は8時ごろであるため、朝9時半では太陽が低く、影はご覧の通り。
02エンジンはモンスター1200Sと同じく、テスタストレッタ11°DS。だが、モンスター1200Rでは高圧縮比化と吸排気系の変更で最高出力は約10%高められている。
03アスカリサーキットはカントが強く、また起伏に富んでいる。そのため、大きくGがかかるところが何カ所かある。プリロードを強めるなど、サスペンションはリセッティングされたが、固い印象はない。十分に日常走行にもマッチする印象だ。
04サスペンションの設定によって、車体は前後とも車高が15mm高められている。そのことで、バンク角はスーパースポーツモデル並みの50度が確保された。おかげでバンク角を不足に感じることは一切ない。
05ステップにはレーシングタイプのものが装着され、ホールド性は抜群。激しいステップワークでステップが折り曲がるなんてこともない。おかげで一体感が高まり、無心にコーナリングを楽しむことができた。
06ライディングポジションはモンスター1200Sと基本的に変わらない。先代モデルよりもグリップ位置が高く手前に引かれたことで、アクの強さはなくなったが、それでも幅広のハンドルに手を伸ばすモンスターらしさは健在だ。車高が高まり、シート高の調整機構が廃されたため、足つき性はモンスター1200Sに劣る。
07キャスター角やホイールベースなどのディメンションは、モンスター1200Sから引き継がれる(ホイールベースは2mm短い1,509mmを公称する)。重量はカーボンファイバー外装や鍛造ホイールの採用によって2kg軽量となる。
08基本のスタイリングを引き継ぐが、シートカウルはショートテイルのシングルシート風となり、ライセンスプレートをリアアクスルマウントから一般的な位置に移したことで、軽快かつアグレッシブな印象を強めている。また、リアタイヤもワンサイズ幅広となり、迫力がより高まった。
09燃料タンクはモンスター1200Sからそのまま流用され、容量も17.5リットルと変わらない。着座位置が高いことで、乗車中はモンスター1200Sの場合ほど燃料タンクを大柄に感じない。
10シートカウルはモンスター1200Sではふくよかなボリュームを感じさせたが、モンスター1200Rは後部が薄くスリムに絞り込まれ、軽快でアグレッシブなショートテイルイメージを強めている。
11フロントフォークが48mm径のオーリンズ倒立型であること、フルアジャスタブル式であることはモンスター1200Sと同じだが、自由長を伸ばして車高を15mm高くしている。フロントブレーキキャリパーやディスクはモンスター1200Sからの流用(パニガーレに準じている)。
12リアサスペンションはリンクレスで、ショックのアッパー側はシリンダヘッドで支持される。ユニットがオーリンズ製なのはモンスター1200Sと同じだが、フロントと同様に車高が15mm高められている。
13モンスター1200Rは、モンスター1200Sにはないステアリングダンパーを装備する。オーリンズ製のアジャスタブルで、見た目にもアグレッシブな印象。高速域でのハンドル振れ低減に効果があるだけでなく、低速走行でもステアリングの動きに抵抗感がなく、ハンドリングがナチュラルなのがうれしい。
14ユーロ4対応となったエンジンの左サイドには、ガソリン蒸ガス(エバポ)を吸着させ、新気によって脱着させるキャニスターが設けられた。ラジエターのサイドカバーにはサンドブラストによる“R”が刻印される。
15サイレンサーは、ユーロ4に適合させるために大型化されたが、スタイリッシュにもなったばかりか、むしろ軽量化されているという。
16薄型トランジスタ(TFT)ディスプレイのメーターそのものはモンスター1200Sと共通で、諸機能も引き継がれるが、モンスター1200Rでは新しくギアポジション表示が加わった。これはサーキット走行でも見やすく、実に有効であった。
17幅広のハンドルに手を伸ばし、左右にダイナミックに体重移動して駆っていくライディングフィールは、スーパースポーツモデルとは異なるワイルドさに満ちている。そして、かつてのモンスターS4RSやストリートファイターよりも、走りは優雅である。
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