【海外試乗速報】ハイパーモタード939 メディア向け発表会
- 掲載日/2016年03月16日【トピックス】
- 取材協力/Ducati Japan 文/佐川 健太郎 写真/Ducati、佐川 健太郎
バルセロナ郊外のワインディングに持ち込んでの公道テスト。日本の箱根のような感じだ。路面は常にウェットで気温も低く、攻めるような走りはできなかったが、ハンドリングも素直で普通にスポーツライディングを楽しめる印象。
ストリート向けの最適セッティングで
スポーティな走りを安全に楽しめる
2016年にデビューするハイパーモタード939シリーズのプレス向け国際試乗会のレポート第2弾です。前回ご紹介した上級モデルのSP に続いて、スタンダードモデルである『ハイパーモタード939』の公道テストが行われました。
エンジンはスタンダードもSPも同じ仕様で、水冷L型2気筒DOHC4バルブのテスタストレッタ11°を搭載。従来型の821ccから937ccに排気量を拡大し、ピークパワーでも3ps強のアップを果たしているのは前回お伝えしたとおりです。電子制御も同様で、走行中に切り替え可能な3段階のライディングモードのほか、8段階のドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)やボッシュ&ブレンボ製ABSシステムなどからなる、いわゆる『ドゥカティ・セーフティ・パック(DSP)』を標準装備している点も共通。若干異なるのがライディングモードの設定で、SPがサーキット走行を前提とした『レース』『スポーツ』『ウェット』の3種類であるのに対し、スタンダードは公道用に最適化された『スポーツ』『ツーリング』『アーバン』の組み合わせになっています。
最大の違いはサスペンション。前後オーリンズが与えられたSPに対し、スタンダードはフロントがカヤバ製、リアがザックス製で調整機構も制限されています。前後のホイールトラベルもSPが185mm/170mmであるのに対し、スタンダードは170mm/150mmとやや短め。結果的にシート高は逆に870mmとSPに対して20mm低くなっています。またタイヤも公道走行に適したピレリ製ディアブロ・ロッソIIがOEM装着されています。
公道テストではバルセロナ郊外のワインディングを距離にして70kmほどツーリングしましたが、天気はまたまたあいにくの冷たい雨。やや気勢を削がれましたが、先にテストしたSPがとても扱いやすく好印象だったため、スタンダードに乗り換えてもまったく気負うことなく走り出すことができました。
跨ってまず感じたのはSPよりも足着きが良いこと。乗り降りや、滑りやすいウェット路面で路肩に一時停止するときなども恩恵を感じます。一方でサスペンションの動きにも明らかに違いがありました。SPのオーリンズはストローク感がたっぷりでソフトな乗り心地なのですが、対するスタンダードはストロークが短く落ち着きがある印象。テスト時の速度レンジの違いもあるとは思いましたが、ちょっと意外な感じでした。でもそれが公道では良い方向に働いているようで、ブレーキングでも車体の姿勢変化が大きすぎないのでコーナー進入が容易ですし、立ち上がりでスロットルを大きく開けてみても、フロント荷重が抜けにくく安定感がありました。つまり公道向けのレシピなんですね。
エンジンは従来型よりパルス感が増して、よりスムーズになった印象。中回転域のトルクが約2割増したことでギンギンに回さなくても十分速い。タイトコーナーでは忙しくシフトダウンせずとも、感覚的にはひとつ上のギアで立ち上がってそのまま引っ張れる感じ。アクセルのツキも穏やかで、わざとガバ開けしてみたりもしましたが、濡れた路面にもかかわらず意外なほどスピニングしません。ライディングモードもそれぞれ切り替えてみたのですが、基本的に素直さは変わらず、鉄板を通過したとき以外はほとんどトラコンのお世話になることはありませんでした。スムーズな出力特性に加え、きっと純正装着されているピレリタイヤの恩恵も少なくないでしょう。
とはいえ、トラクション・コントロールとABSの組み合わせは、路面コンディションが悪いときほど心強いものです。本当はドライで存分に走りを楽しみたかったのですが、逆に言えば雨の中だったからこそ、新型ハイパーモタードの素性の良さを知る機会になりました。カタチは一風変わっていますが、普通にツーリングできるスタイリッシュなドゥカティですね。
フォトTOPICS(写真点数/14枚)
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