ドゥカティ・スクランブラーと親和性が高いWheels and Waves2018 (ホイールス・アンド・ウェーブス2018) レポート
- 掲載日/2018年08月07日【トピックス】
- 取材協力/Wheels and Waves 取材・写真・文/河野 正士
今年は開催直前の嵐によって屋外会場が壊滅的な被害を受けたため、急遽屋内イベントスペースにメイン会場を移転して開催。そこにセットされたスクランブラー・ブース。ガレージ風のセットに、カスタムコンセプトバイクが展示された。
今年もWheels and Wavesに
スクランブラー・ブースを出展
6月に南フランス・ビアリッツで開催された「Wheels and Waves/ホイールス・アンド・ウェーブス(以下WW)」に、ドゥカティは今年もスクランブラー・ブースを出展。そこにカスタムコンセプトモデルや、欧州のカスタムビルダーと組んだカスタムバイクを展示。またフラットトラックレース会場では「Sixty-Two」を使ったライディングスクールも開催された。
ドゥカティ・スクランブラーは、2015年のブランド・スタート時から「Wheels and Waves」にブース/Land of Joyを出展。そこでニューモデルやビルダーたちと組んだカスタムバイクを発表してきた。またスクランブラー・ブースから、開発陣がゲストとのトークと音楽でスクランブラーの世界観を伝える“Scrambler Radio/スクランブラー・ラジオ”をライブ配信するなど、WWはスクランブラー・ブランドにとって重要なイベントとなっている。
WWは今年、開催7回目を迎える欧州最大級のイベント。カスタムバイクとサーフカルチャーを中心としながら、近年は音楽やスケート、フードカルチャーをミックスした一大ライフスタイルイベントとなっている。プレ開催や、本開催までの準備期間を含めると約10年の歴史を持つWWは、回を重ねる毎にその規模を広げ、その影響力を強めてきた。スクランブラーが目指す世界観とも親和性が高く、WW内でもスクランブラーは重要なブランドとなっている。

ガレージ風のブースには、バイクのほか、スクランブラーのアパレルやアクセサリーも展示された。

カリフォルニア在住のデザイナー/アレックス・アールとスクランブラー・チームが作り出した、800ccスクランブラーをベースにしたカスタムコンセプトバイク。エンジンとメインフレームは継承されているものの、外装類や足周りは大きく変更されている。テーマは1960~70年代のデザートバイク。それに近代的なエレクトロニクスをセットした。

近代オフロードモデルに採用されるアップフェンダーは、その形状を進化させている。またスクランブラーのアイコンでもあるインナークロスバー入りLEDヘッドライトを装着している。

後方シリンダーに繋がるエキゾーストパイプは、シリンダーを一周するようにエンジン前方を取り回してレイアウトされる。

車体右側で連結したエキゾーストパイプはスイングアーム前方のキャタライザーボックスから起ち上がり、シートカウル両脇のサイレンサーへと繋がる。リアサスペンションはリンク付きの2本タイプを新たに設計。スイングアームも新調されている。

シートカウルと一体化したような、モダンなアップタイプ2本出しサイレンサースタイルを採用。

タンクはオリジナルでデザイン。やや大柄になっている。スクランブラーのアイコンでもあるサイドパネル・イメージのデザインを踏襲。そのなかに、燃料残量を目視できるメモリ窓を近代的な解釈でデザインしている。

リンク式のサスペンションを2本採用するリア周り。サスペンションはスプリングを持たないエアサスタイプ。リンクの形状も美しい。

オイルクーラーのマウントは、フレームのイメージを踏襲するトレリス形状を採用。

ブレーキング製のフローティング・ウェーブディスクにラジアルマウントのブレンボ製4ポットキャリパーをセット。タイヤはピレリ・スコーピオン。

この車両は毎年6月にイタリア・コモ湖畔で開催される、欧州でもっとも歴史ある自動車とバイクの祭典/コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ2018のコンセプトバイク部門で3位を獲得している。

デビューしたばかりの「スクランブラー1100」もライトカスタムが施され、展示されていた。カスタムを手掛けたのはフランスのカスタムファクトリー/BAD WINNERS。ホイールは前後18インチに変更されている。

主な変更点はアルミプレートからワンオフ製作されたシートカウル&シート。またサイレンサーはコンパクトな一本出しタイプへと変更になり、躍動感溢れる角度にアレンジされている。

こちらもフランスのカスタムファクトリー/BAD WINNERSによりカスタムマシン。ベースは800ccスクランブラー。

アルミキャスティングの純正シートレールは取り払われ、代わりにタンクカバー&シートカウルを一体成形。軽量&コンパクトなボディを実現している。

じつはこの車両、競馬場のショートトラックを使ったフラットトラックレース「El Rollo/エル・ロロ」に出場するために製作されたマシンなのだ。

ライダーはフランス人のゾエ・デービッド。自身が組み上げたビンテージバイクや最新のモトクロッサーベースのフラットトラックレーサーで、フラットトラックレースを楽しむエンスージアストだ。

「El Rollo」でのゾエとスクランブラー・レーサー。

ゾエ&スクランブラー・レーサーが参戦したのは、市販車のエンジンとフレームを使った市販車改造クラス/フーリガン。ライバルは1,000ccオーバーのマシンがほとんどだ。そんななか800ccのスクランブラーと小柄なゾエが健闘。中盤でチェッカーを受ける。

ビンテージクラスに参戦していたシングル250のドゥカティ、フラットトラックレーサー。フレームは1970年代にフラットトラック用に製作された希少なものだ。

「El Rollo」の会場にもスクランブラーテントを出展。

レースの後には「Days of Joy」のプログラムであるフラットトラック・スクールも開催。講師を務めたのは、800ccスクランブラー・カスタムでフーリガンクラスを走ったゾエ・デービッド。参加者のほとんどが、フラットトラック初心者だ。

もう一人の講師は、ゾエのパートナーであり、英国旧車でフラットトラックレースやロードレースに参戦するフランク・シャトキン。彼はパリで英国旧車のレストアやチューニングを行うファクトリーを運営しながらさまざまなレースに参戦している。
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ドゥカティ スクランブラーSixty2