カスタムマシンで究極の草レース!2018Glemseck101(グレムセック・ワンオーワン)レポート
- 掲載日/2018年11月06日【トピックス】
- 取材協力/Glemseck101 取材・写真・文/河野 正士
カスタムという枠を大きく飛び越えた、こんなオリジナルマシンもレースにエントリーしている。
0-200mの速さを競うスプリントレース
Lツインの排気音がコースに響く
2015年にデビューした「スクランブラー」を足がかりにドゥカティは、欧州で盛り上がりを見せるカスタムバイクシーンのトレンドにおいても存在感を一気に高めた。しかし9月初旬、毎年この時期に開催される欧州最大級のカスタムバイクイベント「Glemseck101/グレムセック・ワンオーワン」においては、そのトレンドとは異なる姿のドゥカティを数多く見ることができた。
Glemseck101は、1960年代までWGP(現MotoGP)やフォーミュラー1の西ドイツグランプリが開催された公道サーキット/ソリチュードがある、シュツットガルト近郊で開催されるイベント。会場は、いまや一般道として使用されているソリチュードの一部を使い、その一帯を封鎖しイベントが開催される。今年で開催13回目を迎え、ここ数年は天候に恵まれないながらも2日間で約4万人が集まる。
メインコンテンツは1/8マイル・スプリントレース。日本で言うところの0-200mドラッグレースだ。しかしその雰囲気は“ドラッグレース”とは異なる。排気量や年代、チューニングの度合いによって複数のクラスが用意されているが、そこで戦う車両はレギュレーションによってカスタムバイク然としている。また国産車や欧州車を中心とした最新モデルが数多く参加していることも、特徴だ。しかもその最新モデルは、スーパースポーツではなく、人気のネオクラシックが多い。
そんななかで戦うドゥカティは、モンスターやムルティストラーダ、さらには900SSなどの空冷系が多く、そのもっともドゥカティらしい空冷Lツインエンジンを、豊富なチューニングパーツでパワーアップしているのだ。
なかには独自のサスペンションシステムを採用していたり、オリジナルフレームを製作していたりと、ポテンシャルとともに個性にも磨きを掛ける。
ここでは、そんなドゥカティたちを中心に、Glemseck101の様子を紹介する。
イベント会場周辺にはキャンプサイトも併設されており、多くの参加者が深夜まで会場周辺でワイワイ、ガヤガヤ。当然こんな風に、いたるところでバーンナウトが始まる。
カスタムバイクによる欧州スプリント選手権「Sultans of Sprint/ソルタンス・オブ・スプリント」に参戦しているマシン。この車両はオリジナルのトレリスフレームとハブステアを採用。エンジンはムルティストラーダ1000DS用の空冷デスモを採用している。マシンを製作したのはベルギー在住のバーナード・モント。長く自動車の選手権レースに携わり、そこで得たノウハウをマシン造りに活かしている。フレームとエンジンとホイールだけというスタイルながら、圧倒的な存在感を見せる。
オンラインのヘルメット用カスタムペイントサービスを展開するHelmade(ヘルメイド)。会場ではブースを出展し、そのオンラインサービスをプレゼンテーション。またヘルメットカスタムの一環として、人気のBELL製ビレットモデルのバイザーをカスタムした、カーレースに使用された目だしタイプのBELL STARを彷彿とさせるカスタムヘルメットを発表。そのカラーリングとヘルメットのテイストに合わせ、999Sをストリートファイター風にカスタムした車両を発表。レースにも参戦した。
イタリアのKD Motorcycleが製作した 「Sultans of Sprint/ソルタンス・オブ・スプリント」参戦用マシン。エンジンは2005年式ムルティストラーダ用。フレームはビンテージドラッグレーサーをモチーフにしたリジッドフレームをハンドメイドしている。タンクは単気筒ドゥカティ用をアレンジしている。
スペインのカスタムビルダー/XTR Pepoが造り上げた耐久レーサーイメージのマシン。2003年式のモンスター1000IEをベースにしながら、メインフレームをアレンジおよびシートフレームを自作。749用タンクをベースに耐久仕様のクイックチャージャーをセットアップしている。
こちらもXTR Pepoの作品。2001年型モンスター750がベースだ。749R用タンクをアレンジしながら、ヤマハTZ250用カウルをフィッティングする。
XTR Pepoはモンスター1000IEベースのマシンでレースに参戦する予定だったが、残念ながら降雨により中止となってしまった。
「Sultans of Sprint/ソルタンス・オブ・スプリント」のフリークスクラスで優勝を果たしたのは、イタリアのカスタムファクトリー/サウス・ガレージ。モンスターS2Rのフレーム&エンジンを使用しながら外装類を一新。アルミ製のガーダーフォークにオリジナルのスイングアーム&オーリンズ製サスペンションで武装する。優勝が決まった後、ライダーを胴上げ。
イタリアのアーティスト/ビブラツィオーネ・アートワークスが製作したスクランブラー。彼らはオイルメーカーのドラム缶を使った家具造りを行うアーティストで、溶接マスクがトレードマーク。大のバイクフリークであり、メーカーからのカスタムの依頼も絶えない。
デンマークのカスタムファクトリー/Wrenchmonkees(レンチモンキーズ)が造り上げたカスタムマシン。2005年式モンスター620がベースになっている。