試乗インプレ【予告編】スーパーバイク899パニガーレ
- 掲載日/2014年03月10日【トピックス】
- 取材協力/Ducati Japan 写真/柴田 直行 取材・文/中村 友彦
特徴的なフロントマスクも含めて、外装部品の構成は 1199 と共通。ヘッドライトバルブは一般的なハロゲン式だが、ウインカーとポジションランプには LED を採用。既存のドゥカティ製スーパーバイクと同様、ハンドルを切った際のガソリンタンク/カウルとのクリアランスは少なめ。
エンジンとシャシーの構成を一新しても
親しみやすさを追求する姿勢は不変
1995年から展開が始まったドゥカティのミドルスーパーバイクシリーズは、基本設計を共有する兄貴分の 916/999/1098 系とは方向性が異なる “親しみやすさ” を前提に開発されている。もっとも、748(1995~2002年)/749(2003~2006年)の時代にはレースを意識したRモデルが存在したし、848(2009~2013年)の最終型となった 848 EVO コルセスペシャルエディションは足まわりがハードな設定だったけれど、排気量を縮小すると同時にストリートを考慮した特性が与えられたミドルスーパーバイクは、排気量とパワーに勝る兄貴たちより、ドゥカティならではのライディングプレジャーを気軽に味わえる資質を備えていたのだ。
899 パニガーレはそんな系譜を受け継ぐモデルで、従来のミドルスーパーバイクが採用していた鋼管トレリスフレーム+テスタストレッタ・エボルツィオーネエンジンに替えて、アルミモノコックフレーム+スーパークワドロエンジンを採用。この変更は過去の 748/749/848 シリーズの手法に倣って、兄貴分の基本設計を転用した結果だが、1199 パニガーレと同じ装備を導入することで、ドゥカティのミドルスーパーバイクは新世代に突入したのである。
フォトTOPICS(写真点数/17枚)
01生産性と販売価格を考慮した結果なのだろう、1199 ではアルミだったガソリンタンクは、899 ではスチールに変更。ただし形状と容量はまったく同じで、このガソリンタンクの底面はエアボックスのフタとしても機能している。
021199 の操安性を難しく感じる一因だったシートは、座面をフラットに近づけるべく、ウレタンの厚さを変更。1199 と比較すると、前端部で+10mm、着座点で+5mm の設定になった。同時に表皮も滑りづらい素材に変更されているが、現状でもグリップが最高!……というわけではない。
03センターアップマフラーの廃止によって、すっきりした印象となったテールまわりの造形は 899 と 1199 に共通で、テールランプ/ウインカー/ナンバー灯は LED を採用している。なお 1199 では車両に付属していたシングルシートカバーは、899 では別売りとなった。
04899 に転用するにあたって、スーパークアドロエンジンはボア×ストロークを 112×60.8 → 100×57.2mm に変更。バルブサイズは IN:46.8/EX:38.2 → IN:38.2/EX:34mm に、スロットルボアは 67.5 → 62mm 相当に小径化された。シリンダーヘッドにはニ次エア導入機構を装備。
051199/899 本来のマフラーは、リアタイヤ前部に2つの排気口を設けるショートタイプだが、厳しい排出ガス・騒音規制に対応するため、日本仕様はサードマフラーを採用。エンジン右側に見える騒音対策用の樹脂製カバーも、日本仕様独自の装備だ。
06フロントブレーキディスクは 1199 より 10mm 小さい 320mm で、キャリパーはブレンボ M4.32 を採用(1199 は M50)。ボッシュ製 ABS の介入度合いは任意で変更することが可能で、このシステムには後輪の浮き上がりを抑制するアンチリフト機能も備わっている。
07トップキャップに2つのダンパーアジャスターを装備する 43mm 倒立式フロントフォークは、ショーワが独自に開発した BPF(ビッグ・ピストン・フォーク)。すでに日本車やハーレーでは実績のあるパーツだが、ドゥカティが BPF を採用するのは 899 が初めて。
08トップブリッジ前部に横置きされるステアリングダンパーは、ドゥカティのベーシックモデルで採用例が多いザックス製(非調整式)。1199 のスタンダードも同じザックスだが、上級モデルのSやRではアジャスタブル式のオーリンズ製が標準装備となる。
09899 で良好なトラクションが得られる背景には、専用設計された両支持式スイングアームがある……ような気がするけれど、プレスリリースによると剛性バランスは、片持ち式の 1199 と同等のようだ。なお 899 のスイングアームは、1199 より軸間距離が 6mm 短い設定となっている。
1010本スポークのアルミ鋳造ホイールはニューデザイン。フロントの 3.50×17 というサイズは 1199 と同じだが、リアは1サイズダウンとなる 5.50×17 を採用している。リアブレーキはブレンボ2ピストン+245mm ディスク。
11プリロードと圧/伸び側ダンパーが調整できるリアショックはザックス製。1199 では走行状況に応じて、プログレッシブとフラットという2つの特性から選べたリアサスペンションのリンクは、899 ではプログレッシブのみの設定となっている。
12フロントブレーキ/クラッチのマスターシリンダーは、近年のドゥカティ製スーパーバイクシリーズで定番となっているブレンボラジアル。トップブリッジ下部にクランプされるセパレートハンドルは、外側をヒンジ構造としたクイックリリース式だ。
131199 の構成を踏襲する左右ステップは、市販車では珍しいラジアルマウント式。左側のシフトロッドはスイングアームピボットプレートの内側を通る構成で、そのロッドの途中にはクイックシフター用のセンサーユニットが設置されている。
141199 では TFT カラー液晶だったメーターは、899 ではシンプルなモノクロ液晶に変更。レイン/スポーツ/レースという3種のライディングモードが準備される点と、選択したモードでエンジン特性や ABS/トラクションコントロールの設定、エンジンブレーキの利きが変化する点は 1199 と同様。
15右側のスイッチボックスに設置されるのは、セルスターターボタンとキルスイッチのみ。キルスイッチは一般的なシーソー型ではなく、セルスターターボタンを覆い隠すようにして使用する。スロットルは電子制御式のライドバイワイヤ。
16パニガーレのメーターには、現在使用しているライディングモードに加えて、オド×2、トリップ、ラップタイム、水温、外気温、瞬間/平均燃費など、さまざまな情報が表示できるが、それらの設定や切り替えはすべて左側のスイッチボックスで行う。
17シートカウルは 899 と 1199 に共通だが、1199 でアルミダイキャストだったシートレールは、899 ではスチールパイプに変更されている。タンデムシート下部の収納スペースは必要最低限といった雰囲気で、赤い袋に収まる車載工具の点数も少なめ。
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